消えゆくマスメディアとその後にくるもの

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marugeki_457_sasaki.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
(2010年01月16日)
消えゆくマスメディアとその後にくるもの

ゲスト:佐々木俊尚氏(ジャーナリスト)

 あれこれといろいろな可能性を考えてみても、どうやらマスメディアはもうどうにもなりそうもない。

 新聞は発行部数と広告収入の落ち込み、テレビは視聴率の低下と番組の画一化、低俗化に拍車がかかり、雑誌は廃刊が相次ぐ。しかも、マスメディアの報じている内容が、ほとんど社会のニーズを満たせなくなっているという感覚は少なからず広がっているようだ。

 成熟した社会にはもはやマス自体が存在しないのだから、いつまでもマスメディアが存在できるはずがないという説明もあるが、それにしても昨年あたりからのマスメディアの衰退ぶりを見るにつけ、いよいよそれが現実のものとなってきたとの感は否めない。

 「2011年 新聞・テレビ消滅」の著者でジャーナリストの佐々木俊尚氏は、マスメディアの崩壊はもはや避けられないと断言する。そして、それは既にマスメディアを支えてきた社会や技術の構造そのものが変わってしまったからに他ならないと言う。

 確かに今日のマスメディア衰退の直接的な原因は、広告収入の落ち込みにある。景気の低迷やインターネットの台頭も、メディアの経営状態には少なからず影響を及ぼしているだろう。しかし、佐々木氏は、新しい技術の到来でこれまで垂直統合によって高い収益を得ていた従来のビジネスモデルが完全に破綻した以上、仮に景気が持ち直したとしても、マスメディアの衰退に歯止めがかかることはないだろうと言うのだ。

 佐々木氏の解説はこうだ。これまで番組や記事などの(コンテンツ)とそれを載せる器(コンテナ)としてのチャンネルや新聞の紙面、そしてそれを運ぶための電波や宅配網などの伝送路(コンベヤ)の全てを押さえていたマスメディアが、新しいメディア構造の中でコンテナ部分をヤフーやグーグルといった新興ネット企業に奪われた段階で、勝負は付いた。コンテナを押さえられれば、これまでマスメディアの力を支えていた「希少な伝送路を押さえていることの優位性」が全く意味のないものになってしまうからだ。佐々木氏は「これからのメディアはコンテナを制する者がメディアを制する時代」と解説する。つまり、マスメディアの真の敗因は、従来のメディアの力の源泉とされたコンテンツと伝送路の2つに固執し、コンテナという新しい主戦場に戦線を移動させることができなかった点だと佐々木氏は言うのだ。

 それでもマスメディアにはこれからもコンテンツ制作者(CP)としての一定の価値は残るかもしれない。しかし、いちCPに過ぎない企業が現在のような高コスト構造や大きな図体を維持し続けることが不可能であることは明らかだ。仮に生き残ることができたとしても、そこで生き残ったメディアはもはやマスメディアたり得ない。その意味で、佐々木氏はマスメディアの終焉を断言しているわけだ。

 しかし、マスメディアが消滅した時、マスメディアがこれまで果たしてきた「世論の形成」と「権力の監視」という2つの機能はどうなるのだろうか。この点についても佐々木氏は楽観視しているという。これまでマスメディアが担ってきた世論形成の機能はネットでも十分に担えるし、それをささえる新しいサービスも続々と登場している。一方の権力監視についてはそのニーズがあれば、必ずそれを供給する者が現れるのが市場原理だと佐々木氏は言う。

 実際に新しいメディアの息吹はいたるところに見られる。例えば、これまで政治報道は自民党、官僚、マスメディアが三位一体となって世論形成を行ってきたが、今や鳩山首相自らがツイッターを使って有権者と直接やりとりする時代に入っている。マスメディア以外のメディアにも記者会見を開放した省庁では、記者会見のインターネット中継はもとより、フリーのジャーナリストが記者会見をツイッターで中継し、一般の市民がこれにコメントを返して議論が沸騰するようなことまで始まっている。他のあらゆる業界と同様、メディアの世界でも中抜きが始まっているのだ。政治と世論がダイレクトにつながれば、マスメディアがその存在価値を失っていくのは当然のことだった。

 むしろ、佐々木氏が懸念するのは、今のマスメディアが劣化したまま生きながらえてしまう可能性だという。業績不振が続き、赤字状況がしばらく続いたとしても、長年の独占経営によってかなりの内部留保を貯め込んでいるマスメディアは、それを償却していけば、そうは簡単につぶれない。そうなった場合、既得権益の中で守られたオールドメディアが、大きな図体で市場を占拠し続け、それが新しいメディアの登場を妨げることにもなりかねない。

 いずれにしても、2010年はメディアが大きく変わる1年になる予感がする。2011年にはマスメディアが消滅すると断言する佐々木氏と、2010年のメディアの動きと、マスメディアのその後にくるものを議論した。

今週のニュース・コメンタリー
•小沢土地取引疑惑 暴走気味の検察と変わらないメディア
•クロスオーナーシップ禁止を法制化 やっぱり報じられない原口発言
•「性同一性障害の男性の子は非嫡出子」で報じられていない重要なこと

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<ゲスト プロフィール>
佐々木 俊尚(ささき としなお)ジャーナリスト
1961年兵庫県生まれ。88年早稲田大学政治経済学部中退。88年毎日新聞入社。アスキーを経て03年フリーに。著書に『2011年 新聞・テレビ消滅』、『ブログ論壇の誕生』など。『マスコミに政治はもう語れない』(仮)を2月に出版予定。

January 16, 2010



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コメント

投稿者 コノハズク 

基本的に私も同じように感じてます。今の放送メディアが県単位での免許となっているあたりも(だからラジオ局がストリーミング出来ない)、制度そのものが陳腐化している一面です。大騒ぎして国民に多大な負担をかけて行われた地デジ化も、開き周波数を使うのが既存メディアの資本系列ではどうしようもない。だから今のメディアが時代に応じて変身するというのは望み薄で、新しい物が出て来る可能性に期待するしかないでしょう。

森でも古い巨木が倒れてこそ、新しい芽吹きが始まります。こうなってくると、既存の巨大メディアをどう安楽死させるかの議論が必要になってくるのかもしれません。

January 17, 2010

投稿者 yumemakura 

とは申しましても、インターネットは自分で発信先を探さなければいけません。その点、新聞は幕の内弁当のように、簡単に多くのことを一覧でき、その中から自分の興味のあることを読むことができます。探して読む苦労やインターネット検索の面倒さがありません。

January 20, 2010

投稿者 25percent http://25percent.blog113.fc2.com/

ハイパーローカル

http://25percent.blog113.fc2.com/blog-entry-17.html

(トラックバックしてもうまくいかないようなので)

February 15, 2010

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