政府のタバコ規制は必要か

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marugeki_449_matsuzawa.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第449回(2009年11月14日)
政府のタバコ規制は必要か

ゲスト:松沢成文氏(神奈川県知事)

プレビュー

 「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。」

 これは現在日本で販売されているタバコのラベルに記された警告文だが、タバコによる健康への悪影響が常識となる中、職場や公共交通機関の禁煙が進み、路上喫煙を禁止する条例が全国各地の自治体で施行されるなど、タバコを吸う人の肩身は日々狭くなってきている。全館禁煙のビルの入り口付近には、常にタバコを吸う人の姿が絶えないし、喫煙者をガラス張りの部屋に閉じ込めて、タバコを吸わせている事業所や公共施設も増えてきている。

 そうした中、全国で初めて屋内での喫煙規制にまで踏み込んだ「受動喫煙防止条例」が今年3月、神奈川県で成立した。この条例は、歩きタバコによる事故防止や環境美化などを目的としたこれまでの路上喫煙禁止条例から更に一歩規制を強化するもので、受動喫煙の被害を防ぐ目的で、「公共的施設」内での喫煙にまで規制をかけるというもの。

 ここで言う公共的施設とは、不特定多数の人が集まる場所を指し、公営施設だけでなく民間の施設も含まれる。官公庁や学校、病院や映画館など公共性の高い施設は禁煙、一定規模以上の飲食店や娯楽施設、宿泊施設などは禁煙か完全分煙の措置を講じなければならなくなるため、基本的には神奈川県では、人が多く集まるところではほとんどタバコは吸えなくなったと言ってよさそうだ。しかもこの条例に違反すると、施設の管理者には5万円以下、個人には2万円以下の過料が科せられるという罰則までついた厳しいものだ。

 公共の場での喫煙規制を選挙公約に掲げ、本条例の導入を主導した神奈川県知事の松沢成文氏は、タバコによる健康被害が明らかになった今、タバコを吸わない人が吸う人の煙によって健康を害するのは理不尽であり、受動喫煙から県民の健康を守ることが行政の責務だと主張する。また、日本はたばこ規制枠組み条約に批准しているにもかかわらず、条約で定められた屋内での受動喫煙対策に消極的で、すでに公共空間での喫煙規制が進む海外の大都市と比べても、日本のタバコ対策は遅れているので、国がやらないなら地方から全国的に広げていきたいと抱負を語る。

 タバコは喫煙者自身の健康被害に加え、副流煙や歩行中の事故を含め他人にも被害が及ぶ以上、その是非は全面的に個人の自由に委ねられるべきではなく、政治が一定の役割を演じる責任があるというのが、松沢氏の立場だ。

 嫌煙家にとっては、今回の神奈川県の受動喫煙防止条例は確かにありがたいものかもしれない。なぜなら、これまで個人の判断に任されていたものを、行政が上から規制してくれるからだ。もはや煙を我慢したり、喧嘩になるのを覚悟で、吸うのをやめて欲しいと訴える必要もなくなる。

 しかし、ジャーナリストの斎藤貴男氏は、行政が個人の行動にまで干渉することに対して、公権力による個人の監視・管理の強化につながるだけでなく、それ以上に問題なのは、個人が公権力への依存度を強め、ますます主体性を失っていく風潮を加速しかねないと警鐘を鳴らす。本来ならばコミュニケーションを通じて社会の中で解決すべき問題を安易に行政に委ねてしまえば、ますます我々は自分たちで問題を解決する能力を失ってしまうからだ。

 公共の場での喫煙に対して、政府が規制を加えることは是なのか非なのか。今回はマル激としてはやや異例のスタイルで、行政による喫煙規制の是非をめぐって、喫煙規制条例を推進した神奈川県の松沢成文知事と、自身は喫煙者ではないにもかかわらず嫌煙ファシズムを批判する斎藤貴男氏との議論から、タバコ規制を通じて見えてくる社会のあるべき姿について考えた。

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プロフィール
松沢 成文(まつざわ しげふみ)神奈川県知事
1958年神奈川県生まれ。82年慶応義塾大学法学部卒業。松下政経塾塾生、神奈川県議を経て、93年衆院初当選(新生党・旧神奈川2区)。98年民主党に合流。03年より現職(2期目)。著書に『受動喫煙防止条例 日本初、神奈川の挑戦』、『実践 ザ・ローカル・マニフェスト』など。

November 14, 2009



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コメント

投稿者 コノハズク 

タバコの有害性については改めて議論するまでもありませんが、「人間は理屈のみにて生きるにあらず」という考え方が原点となるべきだと私は思ってます。私自身はタバコは吸いませんし、はっきり言って喫煙者の煙は迷惑です。しかし、自宅の玄関先やマンションのベランダで吸っている彼らの姿を見るのも複雑な心境となります。喫煙者にとってはそれがストレス解消の手段となってもいるので、喫煙者が安心して喫煙出来る環境も考えるのが人道性というものだと思いますね。

この手の「有害だから禁止すれば解決する」という単純思考。例の差別用語を始めとして、金利グレーゾーンの廃止や児童ポルノなど続出してるような気がします。いずれも結果として問題が解決するどころかむしろ深刻化しています。このように禁止して問題が解決するというのは空想ドラマの世界であり、はるか昔に「禁酒法」という格好の前例がそれを明確に示してます。

釈迦に説法となりますが、禁酒法は酒が諸悪の根源だと言って、宗教関係者、教育関係者、主婦などが次第に運動を強め、ついに議員が動かざるをえなくなって実現した法律です。その結果は社会が良くなるどころか汚職と腐敗が蔓延し、ギャングが闊歩したのは良く知られているとおり。ついでに触れておくと、若い青少年(女子を含む)の夜遊びという習慣が生まれたのも、もぐりのバーに夜な夜な彼らが集まった為で、教育関係者がこの禁酒法を強力に推進した事と合わせて考えると皮肉という他はないでしょう。

では何故、そういう発想が生まれるのか。それは恐らく「人間は神が作った特別な生き物だ」という根拠のない先入観があるからでしょう。悪く染まるのは社会に悪い事があるからだ、という訳です。そうでない事は狼に育てられた少年の話を見れば一目瞭然。その少年は人間としての尊厳どころか人間らしさを結局身に付ける事が出来ず、まもなく死んだと伝えられてますが、単純思考の持ち主は信じやすい事だけを信じるのです。

November 19, 2009

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