少年を殺人者のままにしておくことはできなかった
秘密漏示罪で有罪判決を受けた「僕パパ」鑑定医・崎濱盛三氏インタビュー

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(2009年04月18日)


少年を殺人者のままにしておくことはできなかった
秘密漏示罪で有罪判決を受けた「僕パパ」鑑定医・崎濱盛三氏インタビュー

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報告・神保哲生

 京都(4月16日) - 少年調書をジャーナリストに漏らしたとして、秘密漏示罪で有罪判決を受けた医師の崎濱盛三氏が判決から一夜明けた4月16日、ビデオニュース・ドットコムのインタビューに応じ、情報を漏らした理由を「少年を殺人者にしておくわけにはいかなかったから」と語った。

 精神科医の崎濱氏は、奈良・田原本町の放火殺人事件で逮捕された少年の精神鑑定を奈良家庭裁判所から依頼されていたが、鑑定結果や供述調書をフリージャーナリストの草薙厚子氏に見せたことで、医師や弁護士の守秘義務を定めた秘密漏示罪に問われていた。

 崎濱氏は鑑定の結果、少年が広汎性発達障害であることを確信したが、裁判が少年審判だったためにその内容は非公開とされ、報道などで少年が殺人者として扱われていることに、やるせない気持ちを抱いていたという。

 そうした中、少年鑑別所法務教官の経験を持ち、ジャーナリストとしても少年犯罪問題を積極的に取材していた草薙氏から情報提供を求められ、少年が人を殺すつもりはなかったことを世の中に知らせるために、情報を見せたと崎濱氏は語る。

 崎濱氏は、「少年が、家族が家の中にいることがわかっているにもかかわらず家に火をつけたのは、殺人の意思があったからではなく、家の中に家族がいることと、火をつければ家族が死ぬかもしれないことが、結びつかなかったから」と主張し、これを典型的な広汎性発達障害の症状と説明する。

 しかし、崎濱氏は鑑定調書に加え、裁判所から渡されていた供述調書まで草薙氏に見せていた。少しでも情報は多い方が、正確な記事を書いてくれると考えたからだった。ただしその際に、コピーはしない、内容はオリジナルとは変えて書く、事前に原稿のチェックをさせる、の3条件を約束していたと崎濱氏は言う。

 ところが草薙氏は、崎濱氏の承認を得ないまま「僕はパパを殺すことに決めた」を出版。その中には、明らかに供述調書とわかる引用が随所に見られ、少年や少年の家族のプライバシーまでが白日の下に晒される結果となってしまった。

 更に崎濱氏にとって悔やまれたことは、その本が広汎性発達障害に対する理解を促進させる目的とは正反対の内容になっていたことだったと言う。

 その後、少年の父親が訴えを起こしたために、崎濱氏は逮捕され、4月15日の有罪判決にいたる。

 崎濱氏は、そもそも今回秘密漏示罪で問題となっている医師の守秘義務は、あくまで医師と患者の間の信頼関係に基づくもので、鑑定人と被鑑定者との間にはその関係は成立していないとして、法律の適用自体を不当であると主張した。また、情報の漏洩も、個人的な利益のためではなく、少年の行った行為に対する社会の誤解を解く公共的な目的だったとして、その正当性を主張してきた。

 これに対して15日の判決で奈良地裁は、崎濱氏の行為を「少年の利益を図るものではない」と断定し、懲役4カ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。崎濱さんは即日控訴している。

 崎濱氏の代理人の高野嘉雄弁護士は、この判決について、「もともと鑑定人に守秘義務を課していない現行の法律に不備があったことが問題だった」と指摘した上で、「それを取り繕うために、医師の守秘義務を持ち出してきて、秘密漏示罪に問うのは実に不当な判決」と、不満をあらわにする。高野弁護士はまた、「裁判所は広汎性発達障害を理解していない。崎濱先生は、その誤解を正すためにはこの方法しかないと考えてやった。それを逮捕までして罪に問うのは行き過ぎ」と語った。

April 18, 2009



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