サブプライム問題が露にしたグローバル経済の実相

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第357回(2008年02月02日)
サブプライム問題が露にしたグローバル経済の実相

プレビュー


 サブプライムローン問題の出口が見えない。大手金融機関の損失はさらに膨らみ、その後モノライン保険大手の格付け引き下げが発表されるなど、サブプライム問題の影響は未だ全貌さえつかめない状況だ。先月、FRBが0.75%の緊急利下げに続いて0.5%の追加利下げを行った他、ブッシュ大統領が一般教書演説で、米国の景気の失速を認めた上で総額1460億ドル(約15兆6000億円)の景気刺激策を発表するなど、サブプライム問題の震源地となった米国も、あれこれ対策は取っている。しかし依然として、金融機関に新たな損失が出ることへの懸念と、景気の先行きへの不安は、市場関係者から払拭できたとは言い難い。

 エコノミストの水野和夫氏は、サブプライム問題は、90年代から続いていた米国の過剰債務問題の最後の帰結と見るべきで、米国の過剰債務は総額で400兆円にのぼると見られるため、その損失処理には少なくとも数年はかかるだろうと予想する。しかも、日本がバブル期の不良債権を、高い貯蓄率とゼロ金利政策に頼ることでようやく処理できたのに対し、貯蓄率ゼロの米国では、同じような手法をとることはできないことが、米国にとっては問題解決をより困難にしている。

 しかし、サブプライム問題に伴う不良債権の発生は、米国だけに留まらず、いずれは世界十数カ国へ飛び火する可能性が高いと、水野氏は指摘する。世界各国で米国と似たような不動産バブルが発生しており、そこへ世界中から資金が集まり、その金余りを受けて株式市場の高騰が起こっていた。遅かれ早かれ、世界各地でバブル崩壊がはじまり、『日本ひとり負け』から『みんな負け』状態に落ち込むことは避けられないと水野氏は語る。

 グローバル経済を考察する著書を近年上梓している水野氏は、サブプライム問題は、もはや一国だけで経済政策を決めることはできないグローバル経済の必然を如実に表しているとも言う。80年代の日本のバブル期は、国家による経済政策が有効に働いていた。しかし今や、一国の経済政策でバブルを抑えようとしても、バブルを求める余剰資金が、世界中から流入してしまい、一国の力でこれを食い止めることはできなくなっている。この状態は今後更に加速し、結果として格差は拡大し、世界の二極化は進み、その影響を止める有効な手はない。

 司会に経済ジャーナリストの町田徹を加え、サブプライム問題が露にするグローバル経済の実相の検証を通じて、現在の世界経済の進む方向が、人々の真の幸福につながるのかどうかを、水野氏とともに考えた。

<ゲスト プロフィール>
水野 和夫(みずの かずお)三菱UFJ証券参与・チーフエコノミスト
1953年愛知県生まれ。77年早稲田大学政治経済学部卒業。80年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。80年、八千代証券(現三菱UFJ証券)入社。98年、金融市場調査部長、00年、執行役員、02年、理事・チーフエコノミストを経て、05年より現職。著書に『100年デフレ』、『虚構の景気回復』、『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』など。

町田 徹(まちだ てつ)経済ジャーナリスト
1960年大阪府生まれ。84年神戸商科大学(現兵庫県立大学)商経学部卒業。同年、日本経済新聞社入社。87~88年、米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに留学。02年退社。同年、選択出版社に入社。03年にフリーとなる。著書に「日本郵政 解き放たれた巨人」、「巨大独占NTTの宿罪」など。

February 3, 2008



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