首相官邸で今何が起きているのか

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第333回(2007年08月17日)
首相官邸で今何が起きているのか
ゲスト:上杉 隆氏(ジャーナリスト)

プレビュー

 参院選の惨敗で安倍政権への風当たりが強まっているが、当の首相はというと、この騒ぎをどこか他人事のように聞き流しているかのような話し振りで、退陣の意思は微塵も見せていない。

 近著「官邸崩壊」の中で、安倍政権内部の「惨状」を克明に描いたジャーナリストの上杉隆氏は、政権発足直後の昨年秋の段階で、安倍内閣の中枢が事実上崩壊していることを察知し、政権内部の取材を重ねてきたという。そしてその結果、安倍政権では、過去の自民党政権が長年かけて蓄積してきた政権運営のノウハウが、ほとんど何ひとつ踏襲されないまま、功名心に走る首相の側近たちがもっぱら見当違いの行動をとり続ける「烏合の衆」と化していることが、明らかになったという。

 例えば、先週来ニュースを賑わせている、小池百合子防衛大臣と守屋武昌防衛次官の人事をめぐる対立にしても、実際は小池氏と塩崎恭久官房長官の間の感情的な確執が形を変えて表面化したものに過ぎず、本来調整役を務めるべき官房長官や官房副長官らが従来通りの根回しを行っていれば、何ら問題のない人事だったと、上杉氏は指摘する。

 調整役を嫌がる出たがり官房長官、官僚からそっぽを向かれた官房副長官、仕事をしない無能補佐官、黒子に徹することができない首相秘書官等々、聞けば聞くほど驚くような惨状が浮かび上がる中で、上杉氏は、安倍政権の数々の問題点の最終的な原因は「安倍総理自身の資質」にすべて帰結すると結論する。そもそも総理自身が、こうした問題を問題とも思っていないか、もしくは問題に気づく能力に欠けているというのだ。

 とは言え、問題が総理の資質だけなのであれば、政権が変われば片がつく。しかし、より重大な問題は、安倍首相の「居座り」によって、90年代半ばの橋本政権以降進められてきた官邸機能の強化と、小選挙区制と政党助成金の導入によって派閥の影響力が低下したことで、内閣総理大臣への権力の集中が思いのほか進んでいることが、明らかになったことだ。

 強化された官邸機能をフルに活用したと言われる小泉政権は強いリーダーシップを演出したが、それは絶大な国民的人気を誇る首相個人のキャラクターに拠るところが大きいと理解されてきた。しかし、安倍政権の下では、支持率が下がっていても、国民投票法案を含む重大な法案が総理の独断で次々と強行採決され、長老や党人派の幹部たちまでが、それを諌めることもなく、その方針に粛々と従った。また、国政選挙で歴史的大敗を喫しても、誰も首相を引き摺り下ろすことができない。ここまで総理への権力の集中が進んでいることを、今、私たちはまざまざと見せつけられている。

 そしてそれは、総理が単に無能なだけでなく、何か重大な問題を抱える人物が官邸の主となったときに、今の日本ではその暴走を誰も止められなくなる危険性を示唆しているとはいえないだろうか。

 政権内部の取材を続けてきた上杉氏に、権力についての多くの著作を発表している萱野稔人氏を交え、安倍首相の官邸居座りに見る「官邸機能強化」の功罪と、権力の集中が進むグローバル化の時代において、われわれはその権力をどう監視し、どうコントロールすべきかについて議論した。

<ゲスト プロフィール>
上杉 隆(うえすぎ たかし)ジャーナリスト
1968年福岡県生まれ。92年都留文科大学文学部卒業。富士屋ホテル、NHKなどを経て、94年、衆議院議員鳩山邦夫の公設秘書となる。99年よりニューヨークタイムズ東京支局の記者を勤め、02年よりフリーに。『ニュースの深層』(朝日ニュースター)で司会を担当。著書は『小泉の勝利、メディアの敗北』、『官邸崩壊』など。

August 20, 2007



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コメント

投稿者 9B 

上杉隆氏はアベネタで週刊誌にひっぱりだこの人物である。
確かに、幼稚で危うい安倍首相の足を引っ張る原動力のひとつになったのだろうが、日本の現状は「単なる人気者」(・・・この人気というのも曲者で、マスコミが勝手に言っているだけのような気がする)要するにブッシュではないが「一緒にビールを飲みたい奴」をもてはやす価値基準はなんら変わっていない。

最近の世論調査で福田50%、麻生20%と出た後でも「麻生氏の街頭人気」ばかり取り上げ、麻生を持ち上げるマスコミの単純さ浅はかさに、おぞけを震う。
この麻生人気つくりは功を奏しており、かろうじて福田は勝つだろうが、人間として根本的に疑問符のつく人物でも安易な雰囲気で人気をどうこう左右させるマスコミに、疑問符を感じているひとは案外多いのではないか。

日経9-20朝刊に御厨貴氏が「政治の崩壊食い止めよ」と記事を書いている。「(小泉劇場により、)田中政治はおろか政治の文法まで壊してしまった。
かくてやる気がうせ、シニシズム(冷笑主義)が漂い始めるや、政治・行政のプロフェッショナルは一斉に自らのからに閉じこもりだした。素人然としたマスコミや世論を湧かせることが政治・行政であるなら、もはやプロの出番は無い」

こういう状況を旗を振って作り出すマスコミはひどい。安倍首相のいじめから、次は福田のいじめにかかろうとし、結果として残酷だが元気で親しみやすい麻生の味方をすることになる。
世論を動かす醍醐味を味わいつくしているマスコミは(ネットも含め)、どんどん低いところへ世論を追い落とす先導者に成り果てている。

御厨氏のような感想を持つひとは実は大勢存在するはずである。しかしなかなかこういう「大人の意見」は表には出ない。子供の意見ばかり通るようになり、(麻生氏も秋葉オタク=子供から火がついたわけで)、なんとも気分の悪い世の中である。

videonewsが、TVをはじめとする横暴なマスコミと対峙する存在になると思って期待をしていた。ただ、いまのところなんだか違うような気がする。神保氏は「反対のための反対」といった観があるし、宮台氏も若者の意見としては有効だが、大人の意見としては疑問符をもつ。
こんなことを書いても無駄だが、靴の上から足を掻く感じで、駄文を申し上げた。

September 20, 2007

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