小泉劇場が最後までお客に飽きられなかった理由

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マル激トーク・オン・ディマンド
第284回[2006年09月06日収録]
シリーズ『小泉政治の総決算』その6
小泉劇場はなぜ飽きられなかったのか

ゲスト(PART1):世耕弘成氏(参議院議員)
ゲスト(PART2):篠田博之氏(「創」編集長)

<プレビュー>

 小泉政権の5年間を検証するシリーズ企画の第6弾は、「小泉政治とメディア」をテーマに取り上げた。前半は小泉政権のもとで党の広報戦略を取り仕切った世耕弘成参議院議員、後半では長年マスコミを見てきた雑誌「創」編集長の篠田博之氏をゲストに迎え、小泉政権がなぜ改革のイメージを維持することに成功し、高い支持率を維持し続けることができたのかを議論した。
 NTTの広報マンから参議院議員だった伯父の地盤を引き継いだ世耕氏は、小泉政権以前の自民党では民間企業では当たり前に行われているような広報体制が、まるで確立されていなかったと言う。そのため安倍幹事長の下で広報体制の刷新を委ねられた世耕氏は、PR会社の採用や情報管理の一元化など、基本的な広報体制の整備を進めた。その成果が如実に表れたのが05年9月の郵政選挙だったと世耕氏は言う。あの選挙で自民党は、PR会社や世論調査機能を駆使しながら、郵政一本で押して本当に有権者がついてきてくれるかどうかの難しい判断を下し、選挙に勝利した。「あの選挙の大勝で党内に広報の重要性がある程度は認識された」と自負する世耕氏は、「次は官邸の広報体制だ」と、安倍晋三氏の側近中の側近として、早くも次期政権の広報体制にまで思いを馳せる。
 他方、『創』の篠田編集長は、小泉政権は国民の期待感を高め、「国民に近い総理」を演出することに成功したが、本来その中身をチェックするはずのメディアが、その義務を怠ったために、総理の高い人気が続いたと指摘。今日のメディア関係者の間では既に「メディアは権力を批判するもの」との前提が成り立たなくなっていると警鐘を鳴らす。「小泉劇場」が人気を博し続けることができたのは、「政権のメディア操縦のうまさと、メディアの権力チェック機能の弱体化」の両方が背景にあると篠田氏は言う。
 なぜ、イラク戦争への自衛隊派遣や靖国参拝、弱者切り捨てと格差の拡大などの困難な課題を抱えた小泉政権が、これほど長期にわたり国民からの高い支持を維持することが可能だったのか。小泉劇場においてメディアはどのような役割を演じたのか。安倍政権下では政治とメディアとの関係はどう変わるのか。小泉政権のメディア戦略の成功の背景と影響を世耕氏、篠田氏と共に考えた。

September 17, 2006



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コメント

投稿者 murriel http://blog.goo.ne.jp/murriel

第284回マル激 「弱者」から「被害者」への自意識の転換がもたらすメディア戦略

第284回(2006年9月6日)のマル激は、世耕弘成氏(参議院議員)と篠田博之氏(「創」編集長)をゲストに、シリーズ『小泉政治の総決算』その6として、「小泉劇場はなぜ飽きられなかったのか」がテーマでした。

世耕氏について、彼はたいへん優秀な広報マンだとの印象を受けました。語っている広報体制の改革に関しては、まったくもって当たり前のことでしょう。

世耕氏がどういう政策を主張しているのか気になって氏のHPを見てみましたが、政策的にたいしたことは言っていません。薄いです。

唯一、広報マンらしくて目を引いたのが、国家戦略としての「ソフトパワー」の強化ですね。「今後4年間のうちに主要20ヶ国において「ジャパニーズ・クール」を発信するプロジェクトを実施する」というのは、具体的なことはよくわかりませんが、面白そうではあります。

また、氏のブログもありますが、ただの行動記録ですね。そこから氏の人脈等を読むこともできますが、基本的に面白くありません。

世耕氏は、与えられた課題を遂行する時は、優れた能力を発揮するタイプなのでしょう。

篠田氏とのトークは2度目に聞いたときは面白いと思いました。非常に興味深い論点がいくつも提示されていますが、感想を1点。

神保さんの言う「メディアの役割は(国家)権力のチェック」という大テーゼ。まったくその通りであるべきだと思いますが、悲観的現実認識からすれば、もはやそれは望み得ないことなのではないか、とも思います。別に、マスメディアが単なる政府の広報紙に堕したとまでは思いませんが、マスメディアの役割としてそういうことが以前よりも期待されなくなったということが多分にあると考えます。

言ってしまえば、ユーザー(視聴者・読者)にとっては、政府による不当な権力行使よりも、株価やファッション、新製品情報のほうが、関心が高く、また、「国家権力」よりも「社会的悪者」のほうが、直接に生活に関係することだらだけあって、批判的関心を得やすいのではないでしょうか。

とりわけ後者に関しては、番組中でも述べられていたように、煎じ詰めれば、国民大多数の自意識が、国家的権力から虐げられたり簒奪されかねない「弱者」から、国家や社会のステークホルダーとして、他者から屠られかねない「被害者」へと、転換したことによるものと考えられます。

実際、先の衆院選では、自らを構造的に位置づけられた「弱者」としてではなく、誰か(既得権者、反日国家・・・)のせいで「割を食っている」「被害者」として感じて、小泉自民党を支持したものが多かったのではないでしょうか。

思えば、「あなたたちは弱者ですよ」と言うのに比べて、「あなたたちは被害者ですよ」と言うのは、大衆に対して素晴らしく効果的な政治メッセージですね。「中流」庶民の俗情をくすぐり、鬱積した不満を利用するれけども、社会の構造そのものには問題を抱かせない。

こういう状況では、メディアに求められる役割が、「(国家)権力」のチェックよりも、社会の「既得権者」や「フリーライダー」、「逸脱者」の告発に向かうのも、まあ、当然のことと思えます。

なお、では逆に「あなたたちは小泉改革の被害者ですよ」と言えば訴求力があるかというとそうでもないと思われます。小泉政権の優勝劣敗の競争主義においては「敗者」という自意識は生まれても、誰かに不当に屠られているという「被害者」という自意識は育ちにくいでしょうから。

見通しは暗いですね。

September 21, 2006

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