山田昌弘さんと希望格差社会を生き抜くためにできることを考えてみました

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丸激260回[3月23日収録]
希望格差社会を生き抜くために
山田昌弘さん(『希望格差社会』著者・東京学芸大学教授)

プレビュー

 日本は戦後50年あまりにわたり、常に明るい未来像を抱くことが可能な国だった。常に、親の世代よりも幸せになれる、今よりも将来の方が生活が豊かになるとの楽観的な前提にたって将来を見通すことができたし、実際にそれを実現させてきた。しかし、1990年代後半を境に、将来への展望が開けない時代に突入したと山田氏は指摘する、将来に希望を持つことができず、さまざまなリスクから逃れることができない。そして、努力をしても報われることが期待できないと感じ、現実にそれが報われない人たちが急増しているというのだ。

 実際に、さまざまなデータは、この事実を裏付けている。既に日本は将来の希望を持てる一握りの勝者と、希望が持てない多くの敗者に二極分化した希望格差社会に突入したと、山田氏は説く。

 この現実は、社会がより豊かになれば必ず今よりもっと幸せになれると私たちの多くが信じ込んできた、根源的な価値観を根底から揺るがしている。努力をしても報われないのなら、努力をする人は減る。希望が持てず、リスクばかり背負わされる重圧に耐えきれず、自殺する人も増える。かと思うと、蛸壺的な小さな世界に閉じこもって生きようとする人が増える。

 しかし、これが公共政策や個人の努力では解決できない根深い問題であることが、この問題をより深刻なものにしていると山田氏は指摘する。

 『パラサイトシングル』などの造語の発案でも知られる山田氏とともに、希望格差社会を生き抜くために、政策面で何が可能か、また個人や家族レベルでは何ができるかなどを考えた。

March 25, 2006



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コメント

投稿者 vox_populi 

 山田昌弘氏の主張について、著書を読まないまま批判するのは不当かもしれませんが、今回の番組を見た印象を言えば、次のサイトでの山田氏に対する批判的な論評は概ね当たっていると思いました。
http://blog.goo.ne.jp/teki-mizuno/e/0048284823b12d3f04cfff7344d1c858


 それから1点、今さら終身雇用をやろうとしても中小企業には不可能だという話が番組の中でありましたが、ここには実証的な誤りが含まれているのではないかと思います。日本の雇用慣行は少なくとも従来は、終身雇用の大企業と、そうでなく流動的な雇用の中小企業という二重構造を呈していたはずで、つまり中小企業ではもとから終身雇用は必ずしも通例ではなかったと言うべきなのではないかと思います。


 山田氏は結局のところ、新自由主義的な風潮を是としているイデオローグのように見えてなりません。

March 26, 2006

投稿者 Gershwin 

 番組中での神保さんのコメントに「これだけ豊かになったのに普通に中流的な一生を送ることが高望みになっていることに釈然としない。」というものがありました。私も同感です。
 「社会が豊かになっても幸福度が増すわけではない。」、「日本も途上国と相互依存して生きている。」、「グローバルに希望が無くなって来た。」、「グローバル化の中で貧困の撲滅はあり得ない。」という山田さん、宮台さんのコメントもありました。
>これが公共政策や個人の努力では解決できない根深い問題であること>が、この問題をより深刻なものにしていると山田氏は指摘する。
 山田さんや宮台さんの指摘は学問的には誤りでないかも知れませんが、「現代日本が豊かな社会なのに普通の生活ができない理由」を考えるには、日本の経済政策の細部を考えることの方がより重要であるように感じます。


 私は都市部の住宅政策に大いに原因ありと考えます。日本固有の住宅問題が日本の希望格差問題の原因のそれなりの部分を占めているのであって、洋の東西を問わず都市生活者がかかる現代病(贅沢な高望み病)だという視点は(現段階では)それほど重要では無いだろうという説です。
 現代日本の都市生活においては、衣食住の生活コストの中でもとりわけ「住」に過剰な負担が生じていて、ローンに耐え切れない人が脱落し始めている(自殺する)ことが、「希望が無いこと」の具体的内容なのではないでしょうか。番組中でもこの点に触れておられたのですが、居所的扱いになっているように感じました。
 マル激でも一度くらい日本の住宅問題を取り上げて欲しいと思います(住宅問題という観点からの不良債権問題。地主利権、規制緩和と絡めた不良債権問題。)。


 私は、元来中流サラリーマン層は報われてなどいなかったのだという説を採ります。大企業に勤めていたって、値段が馬鹿高くて狭小な住居を買うために多額の住宅ローンを借りていたり、子どもを大学に通わせていれば、一般的に言って生活に余裕など無いと思います。住宅ローンと教育費を完済する為に夜遅くまで働いて青息吐息。ローンの支払いが終わる頃には家はボロボロというのでは、これは報われたと言えるのでしょうか。(神保さんは日本のサラリーマンはケツの毛まで毟られていると過去番組中で表現しておられますが・・・。)


  戦後、地方から出てきた労働者(農家の子弟)に対して国家が煽った持ち家政策によって(「亡国マンション」の著者平松朝彦さんは、戦後の持ち家政策を第二の地租改正と表現しています。明治維新の地租改正では、それ以前の公地に対して農民の所有権を認めるかわりに、作物の出来高に関わらず一定額の税を金納させた。)、国家は住宅取得税・固定資産税・都市計画税などの税金を、銀行は膨大なローン金利を国民から収奪したのではないですか。
 銀行がローン購入者にリスクを全て負わせた結果、今や返済能力を失った順に人々は自殺し始めたのではありませんか。政府が長年、住宅取得をエサに庶民の財産を奪ってきたが、そのエサに引っ掛からないフリーター層が出現してきて国家は困ると言っても、それは当然。

 「真面目に相当一所懸命働いても、自殺するかぎりぎり借金が返せるかという話なら、俺は頑張らないよ。独身で実家に住んでアルバイトして趣味が充実すればそれでいいじゃん。親のストックを有効利用して何が悪いの。」という若者がいてもおかしくないのでは。
 親のストックを利用して自由に生きようとする世代の登場は当然のことのように私には思えます。(先進国に共通の現代病であるというような社会学の解析を全否定するつもりはありませんが・・・)


  結論的に言うと、土地所有者には所有権を認める代わりに厳しい利用義務を課すべきで、都市部の土地は単なる個人の資産として扱ってはいけない。

 不良債権問題は国民の犠牲(税金投入・利子の収奪)によって解消に向かっているのだから、土地利用制度にこそ先進国の制度を適用して、これからは地価を下げる政策に大転換すべきではないでしょうか。既存ローンの瑕疵分は今度こそは銀行が負うべき番ではないかと思います。利子は奪う、リコースローンはそのままということでは自殺者が出て当然なのでは。

 地価低減化で生じる新たな住宅着工需要をこそ景気浮揚策と位置付けるべきではないでしょうか。また立地コストの低下は企業一般(起業者)にとって良いことのはずです。


 ニート・フリーターが存在する理由について私は次のように理解しています。外国勢力によって生じさせられた不良債権問題を解消するために、日本政府が新自由主義経済という輸入思想(外国勢力の意図)に基づいて企業の人件費圧縮を煽った結果ではないのかと。つまり日本国民が危機意識を持ち、外国勢力に都合のよい社会改革を実行するようにバブル崩壊が仕掛けられ、ニート・フリーターはその産物の一つなんだろうと。


 日本人の民度が低いとすれば、その理由は「自分は大して豊かでもないのに、自己の能力以上のことを考えて、改革が必要とか国益が大事などと論ずること」のような気がします。


以上。


(以下、付け足し)

  以下、住宅問題について書く人が他にいないので敢えて書きます。


  バブル崩壊と雖も住宅の値段はいまだに高過ぎであり、大企業の正社員でもローン負担がきついのが現実です。宮台さんは日本は豊かな社会と言うけれども私は決してそんなことは無いと思います。宮台さんは高名な著作家でいらっしゃるので豊かなのでしょう。

  98年以降に増えた中高年の自殺原因の解析(自営業者の資金繰り悪化、サラリーマンのローン返済破綻の比率など)を番組中でもっと詳しく紹介してほしかったです。

 都市部では衣食住の住に金がかかり過ぎて、低成長時代になって給料が減れば住む場所にまず困り、食については「危険でも安価な輸入食品」を食べざるを得ず、保険・年金も掛け金を払っていないからこそ将来不安が払拭できない。

 人々がオタオタするのも当然で、ヨーロッパ的な自立的相互扶助だのアジア主義どころの話では無い気がしますね(「亜細亜主義の顛末に学べ」は読みました。関岡さんの本も読みました)。耐震偽造事件も結局、地価が高過ぎるから建築物のコストを下げてみましたということが事の発端ではないでしょうか。


  繰り返しになりますが、土地所有者には所有権を認める代わりに厳しい利用義務を課すべきで、都市部の土地は単なる個人の資産として扱ってはいけないと私は思います。ニート・フリーターは親のストックを有効に利用して生活しているとも考えられますし、逆に子供が出て行ってしまった実家は過剰なストックであり、このことが土地有効利用の点において問題であるとも考えられます(特に首都圏)。

  都心部は高い容積率を義務化して利用効率を高め、郊外は防災のために建蔽率を下げて一戸当たりの最低敷地面積を定めるべきでしょう。東京23区の建築物の平均階数は3階以下というのを私は聞いたことがあります。

  不良債権問題は国民の犠牲(税金投入・利子の収奪)によって一旦解消に向かっているのだから、今度は土地利用制度にこそ先進国の制度を適用し、これからは地価を下げる政策に大転換すべきではないかと思います。既存ローンの瑕疵分は今度こそは銀行が負うべきでしょう。ここで生じる新たな住宅着工需要・都市整備区画整理事業を景気浮揚策の一つと位置付けるとよいのでは。地価低下にともなう立地コストの低下は企業にとって良いことのはずです。とにかく既存リコースローンをノンリコースに転換せずにいると1900万人ものローン破綻(自殺)者が出る可能性があります。


  戦後は土地担保主義で経済を動かしてきたために、地価が高いことが是とされてきましたよね。地価上昇率が預貯金金利より高い時代には、我々一般庶民は皆、多額の負債を負って資産の殆どを土地にしてしまうという本来リスクの高い異常なポートフォリオを選択してきました。(借金して全て株に変えたらリスクが高いと思うが、全て土地に変えるならそうは思わなかった。)

  土地神話が存続している間はそれでもよかったが、土地バブルが崩壊して、借金すべてを不動産に変えることのリスクが高まっている(資産価値の減少にともなう金利負担の増大)にも関わらず、家を所有しようと思えば借り入れは必要で銀行は貸し手リスクを負わない。
  といって子育て家族向けの賃貸物件は、地方都市でも非常に少ないうえに、借り手は家賃が高いということ以外にも多額の敷金・礼金という前近代的な負担を強いられます(これは借り手の権利を強めすぎた影響だそうです)。


  日本の住宅ローンは先進国にあるまじきリコースローンなので、基本的にサラ金と変わりません。日本以外の先進国はノンリコースローンであり、例えばアメリカでは物件(土地家屋)を放棄すれば借金は消滅し、次の買い手がローン残額を負うそうです。つまり銀行も貸し手リスクを負うということです。日本の銀行はいまだに貸し手リスクを負わない(負う能力の無い)バカ野郎です。


  大体、大企業の社員でも中小零細企業の社員でも同じ金利なんだから、そこからして市場原理が働いていないということですよね。いい大学に入って大企業に勤めようという意欲にしても、この点においては全く報われていなかったわけです。(銀行員になれば特別金利で多少報われます。モノづくりの企業ではダメです・・・。)


  日本の戸建て住居は30年くらいでボロになりますから、若い頃に購入した家は死ぬまでには必ず一度は大規模なリフォームをしなくては住めません。実家に住むフリーターだって大変です。

  マンションだって欧米のように、100年使えるような外配管方式のスケルトンインフィル構造(水配管の交換が低コストで可能な設計思想)になっているものは殆どありませんから、耐震強度的には65年住めると思って購入したとしても、水配管劣化によって30年で住めなくなるようです。修繕すれば問題無いように思いますが、専有スペースの中に共有スペース(水配管)を作ってしまっているために配管交換費用が高くなり、管理組合のプール資金では修繕費用は足りず、水配管の修繕のような大規模な修繕は管理組合の総会において、結局のところ承認されないことが多いそうです。多くのマンション入居者はこの問題に困るのだそうです。
  貸し手リスク(担保価値の劣化)を抑えるためにもマンション建築は高コストであっても外配管方式を義務付けてもよいのではないかと思います。


  地主は所有権を認められていながら、(偽装農地化、赤字経営などして)それを有効利用する厳しい義務を負わなくてもよいという土地制度がまかり通ってきた。新自由主義経済だといって、日本には必要とも思える「談合」は悪者あつかいするくせに、「単なる土地の抱え込み」という巨悪は野放しです。全く理解に苦しみます。
 

April 9, 2006

投稿者 椋代能行 

beat & NSXさんの「土地制度」のお話ですが、「偽装農地化」など、法務局で登記簿と役場の台帳見比べれば判りますが、理解に苦しむ事由の所在が私には分かりません。それでうまく回しているわけでしょう。
「談合」に関しては「質」でしょう。一年で陥没する薄まっちまったアスファルトを敷き詰めてよいとはならないが、そういうことを繰り返すから、見限られる。理由は判りませんが、例えば、秋田と岩手の道路事情には随分と差があります。秋田は断然良い。俗説では積雪量の差(交通量も上がるかもしれないが、どうだか。)ということにされているが、単位コストとして果たしてどの程度浮いているのかは不明です。
マンション建築のお話はご尤もですが、実効性は不明です。実効性の無い提案をするよりは、相手の立場上の矜持を援用する方が、多少なりともましだろうと私は思います。そこを寸分すらも伴わない社会には存続価値などありませんからね。
ニート・フリータは無責任な表現をすれば、どうでもよい話で、1980年代末には終身雇用に固執していた連中が、一気に逆へ振れたように、そのうち羊のように追い立てられて集団移動するでしょう。
かつても書き留めたはずですが、こうした社会でなければ、宮台さんの著書も売れないでしょう。ここばかりは至極単純な法則ではないでしょうか。

April 9, 2006

投稿者 Gershwin 

椋代能行さん

コメントありがとうございます。

>「偽装農地化」など、法務局で登記簿と役場の台帳見比べ
>れば判りますが、理解に苦しむ事由の所在が私には分か
>りません。それでうまく回しているわけでしょう。

 首都圏で見られる偽装農地化は「タチの悪い談合」そのものですよ。私が理解に苦しむ理由は、土地を所有する権利を持つものに対しては、国家は土地を有効に利用する義務を課すべきと私が考えるからです。

 農地の偽装を解き、土地供給を増やして地価を下げてしまったら、ローン破綻による自殺者が増えてしまうだろうから、「現実の世の中は偽装農地化でうまく回している」という御説でしょうか。
 これに対してはノンリコースローンとすることで銀行が今度こそリスクを負うべきと私は考えます。そして手放された中古物件がもっと市場に出回って、高く無いノンリコースローンで中古住宅に住めるようにするべきものでしょう。
 そうしてようやっと銀行は担保の劣化を防ぐために、建物の耐震検査、断熱性能などを本気でチェックするようになるのです。(CO2削減したければ結露対策をした上で断熱性能をある程度上げなければ・・・)

 実際は(偽装農地化以外の)様々な手法で地価を高止まりさせようと努力しているのですが、一等地でも無ければどうしても下がってしまうからローン破綻して自殺するするケースが生じるのでは。「うまく回している」とは到底言えないのだろうと私個人は考えます。
 椋代さんと私の見解が異なるところです。
 

 談合の良し悪しについてですが、これは質では無くて量が大事でしょう。適用される規模(人数?金額?)で良し悪しの判断が別れてくるのではありませんか。


>実効性の無い提案をするよりは、相手の立場上の矜持を
>援用する方が、多少なりともましだろうと私は思います。そ
>こを寸分すらも伴わない社会には存続価値などありません
>からね。


 リコースローンをノンリコースローンにすれば、ローン破綻が理由で自殺する人はゼロになるという実効果が得られるという意味のことを書いただけですよ・・・・。

 それとも「ローン破綻ごときで死ぬなよ。」とネット上で声をかける方が多少なりともましなんでしょうか。矜持を持てなくなって自殺に至るまでの具体的原因について、私は一つの意見を述べたに過ぎません。

 生命保険会社は自殺の免責期間を1年から2年に伸ばしているという有様ですから、相手の立場上の矜持を援用どころではありませんよ。まじめな破綻者を以前よりも1年長く生き長らえさせて、ハゲタカのように生ける屍から掛け金を貪っているのでは。

 「ささやかなウサギ小屋住宅を得ようと高望みする者は”生かさず、殺さず ”。」って感じ・・・。

April 9, 2006

投稿者 椋代能行 

beat & NSXさん、早速の返信ありがとうございます。
私の早とちりがございました。おっしゃることはよく判ります。先ず、上記の私のコメントは少しも建設的ではありませんでした。失礼しました。申し訳ありません。
私自身、大阪ですので、首都圏の事情は推察するに過ぎませんが、偽装農地の手法には大変憤りを持っております。自身で法務局や役場に出向いたこともありました。
私個人が遭遇し対処せざるを得なかったケースは、悪質な開発、産廃投棄による埋め立てなどでしたが、大阪府庁内の監督部署からの情報抜けを含めて、彼等の連絡網の緊密さと素早さには、私の予想を上回るものがありました。私は環境省にも平行して連絡を入れ、大阪府と環境省の見解の矛盾点を突き、また同時にすべての会話を録音、現場の写真も隠し撮りして対処したため、ある地点で収まりましたが、一歩外せば大阪湾に沈められるということも有り得たかも知れません。

また、相手の「立場上の矜持」の援用については、大企業相手のものではなく、企業不正を目の当たりにしたときの個人や市民団体の振舞いの心構えに言及したつもりでした。(けれども、beat & NSXさんの見解の趣旨からは外れてしまいますね。)
市民団体や消費者団体の多くは、鼻から腰が引けてしまっていて、何らかの不正に直面し、しかも相手が苦境に陥り、ちょうど雪印の時の如く涙を流しつつ詫びを入れてきていても、これを逆手に取ることができないできたという事実があり、これには、彼等が分裂を繰り返し、ある種の局面ですら団結できないできたことも大要因なのだと思いますが、そうした実例に苦い想いを抱いていた為、つい、そのように書いてしまいました。失礼しました。ご意見には寧ろ賛同するものです。生命保険会社の件も同感です。唯、どうやって、それを法制化させるのか、具体的に誰を動かすのか、そういう想いは残りました。

改めて前述のご見解を精読致しました。beat & NSXさんは、「山田さんや宮台さんの指摘は学問的には誤りでないかも知れませんが、「現代日本が豊かな社会なのに普通の生活ができない理由」を考えるには、日本の経済政策の細部を考えることの方がより重要であるように感じます。」と指摘しておられます。見解のご趣旨を上述したような私自身の強い想いから取り違えてしまったのだと思います。ご赦免ください。

April 10, 2006

投稿者 Gershwin 

椋代能行さん

早速のお返事ありがとうございます。現代日本民衆の持つ、及び持つであろうストックに対して、

1) ニート・フリーターが存在できるほどに豊かなストックがある、
2) 個人がささやかなストックをゼロから蓄えるためは,今なお文字通り「命懸けの苦労」が必要である、

という異なる見立てができると思います。


  山田さん、宮台さんは1)を前提に、「希望格差」は先進国共通の現代病(高望み病)であるというような見解を述べておられました。もちろん、そういう側面は否定できないと思います。しかしニート・フリーターは2)という現実を自分の親を見て既に知っていて、別の選択肢を欲している(あるいは現実逃避している)のではないかと私にはどうしても思えるのです。

>また、相手の「立場上の矜持」の援用については、大企業
>相手のものではなく、企業不正を目の当たりにしたときの
>個人や市民団体の振舞いの心構えに言及したつもりでし
>た。

>唯、どうやって、それを法制化させるのか、具体的に
>誰を動かすのか、そういう想いは残りました。


  提案をする以上は、利害当事者間の双方にメリットが無ければその提案は成立しないだろうという旨と諒解いたしました。
結論的には銀行・建設業者・暴力団(と結びついた政治家)などにメリットが無ければいけないでしょうね。具体的に誰を動かすかは、私には思いつきません( すみません)。以下、素人考えで、椋代さんへのお答えになり得るかどうか・・・。

  リコースローンをノンリコースローンとして銀行にリスクを取らせるとした場合(破綻後、ローン残額の支払い者を中古物件の市場から探すとした場合)、下記のような効果を期待したいと考えます。

 生保にとっては、やたらと負債者に自殺してもらっては支払いが増えて困ります。新たな負債者を探して負債(保険掛け金込みのローン)を引き継いでもらえるので得であろうと思います。

 銀行にとっては、ノンリコースにするとローン購入者に安心感が出て、貸出額総数が増えるというメリットがある。そして人口減少・低成長経済下においてはかつてのような全国一律の地価上昇は望めないのだから、地価の反転上昇・破綻者の自殺を待つ(保険金の充当)よりも、負債引継ぎ者を次々と中古市場から見つけられる方がはるかにリスクが低い。

 購入者にとっては、ローン破綻で死ぬリスクがなくなる。中古市場が充実し、安価で良質な物件が得られる。住宅供給が増えるので地価も下がって新築のコストが下がる。中古市場においてローン残額と時価にギャップが生じることがある筈ですので担保価値を維持したいと思えば、銀行は建物の審査を進んでやる(銀行には厳格審査の動機が生じるので、法律でそうさせる)。建築物の信頼性が上がって購入者は得をする。

 土木建設業者にとっては、中古物件の供給増で地価が下がると新規住宅着工・区画整理事業が増える方向に行くので仕事が増えて得をする。

 暴力団にとっては、土木建設業務の増加、地価低減で土地取引件数が増加するので得をする。

 ただ金融資産として土地を抱え込んでいる地主さんには泣いてもらう。

 地価の低減は、まだ日本に残されている虎の子の貯蓄を「良質な住宅ストック」・「きれいな街並み(区画整理)」などに変え、希望のある社会をもたらす原動力になるものと想像します。

April 11, 2006

投稿者 椋代能行 

> 利害当事者間の双方にメリットが無ければ
> その提案は成立しないだろうという旨

その通りなのですが、ある規模以上のうねりにならない限り、インターネットのように将来利得の明白だったものでも当初は現実に理解されません。ネット環境は、しかも、例外例でした。


ちょっと話が逸れますが、Amazon.co.jpで10,000円で1,000円返還っていうキャンペーンやってるじゃないですか。値引きコードが後からメールで送られてくる手法、これ、もうずっと前からやってるんだけど、先月だけ5000円で500円即日値引きってかたちにした。で、今月に入った途端に「還元額UP!」と「期間延長」です(笑)。どうみても誇大広告で、景品表示法か何か独禁法に触れてますよね。でも買う人いるし、周知だからということで、公取もどうにもできません。ですが、この広告効果っていうのは、侮れないですよ。絶大なる効果がある。「世の中この程度」という冷めた見方を植え付けることに。だから公取は、本来、動かなきゃいかんのです。
で、私は、洋書と絶版本在庫以外なるべく買わないとかしていますが、これ以上できることは無い訳ですよ。


私と致しましては、個人で行える有効な活動というのは、ある水準以上のリスクテイキングを負い、官庁を有効に用い、利益と面子の相互牽制を働かせられないなら、気長に、然も、直接その問題には触れることもなしに、演繹効果を狙うことに限ると思います。直接提案は、良くても、1/100程度には稀釈されますから。(無論、ここは個々人の判断です。)

基本的には、気長に保ち、要所だけで前者を繰り出す或いは前者は一切用いない。決めたことは遣り遂げる必要があるとすれば、中途半端は一番拙いです(ご提案の内容を指しているのではなく、戦略として)。二度同じ手は使えないので。

ところで、代用乳ってのは面白いですよ。あれも粉混ぜて造ってるんでしょうか。

April 11, 2006

投稿者 椋代能行 

参考:イタリア総選挙とメディア
http://www.guardian.co.uk/leaders/story/0,,1751127,00.html

直接提案は、アリバイとして残すことには価値があると思います。だから、皆さん(そこまで考えてやっているかどうか心許ないが)、行政側が意見公募してきたとき、証拠の残る形式を用いて行うのでしょう。

April 11, 2006

投稿者 stuckman 

beat & NSX さん

私も住宅問題に興味を持っている者です。
ご意見、大変勉強になりましが、ただ一点だけ、地価を下げる方法として

> 都心部は高い容積率を義務化して利用効率を高める

というのが有効なのかは疑問に思ってます。また、住宅の高層化には様々な副作用があることが知られていないと常々感じています。
東京の、容積率が高いほど地価も高いという比例関係を示したグラフを見たことがあります。「都市を高層化して土地の利用効率を高めれば、住宅が安くなり住居への負担が減る」という理屈は一見正しいように思えますが、現実にはその反対に、土地の収益性が増大するために地価の上昇が起こるみたいです。
今の東京の高層再開発も、デベロッパーと銀行が地価上昇を狙ったものでしょう。
「東京23区の建築物の平均階数は3階以下で、先進各国に比べて高度利用が出来ていない」という話は、ディベロッパーの宣伝文にもよく出てくる話なんですが、これはマンハッタンのような一部の高層地区と東京23区のような広い範囲を比べたものではないでしょうか。
実際には欧州などの都市中心部は4、5階程度の中層住宅が多く、beat & NSXさんもそのようなイメージでの意見あればわかるのですが、それ以上の高さは欧州などではどこも厳しい高さ規制を行っているので、業者や行政による印象操作には注意する必要があると思います。

ノンリコースローンの話はなるほどと思いましたし、それと地価を下げる施策によって、土地ではなく建物の担保価値を維持するインセンティブを銀行に持たせて良好な中古住宅を多く供給するという考え方は、大変共感できるのですが、地価の高い原因が単に供給不足のせいかというとそれはなんもいえないと思います。

また年月が経過して地価が下がり古くなった高層マンションでも、高層建築というのは管理コストが高いので様々な住環境上の問題が起こり得ます。
マンションの修繕プール金ですが、ご指摘の水道管の問題の他にも、古いマンションでは金の使い道で住人が揉め、必要な修繕ができないまま老朽化が進み、資産価値の低下~収益減~さらなる積み立て金不足という悪循環がよく起こります。
合意形成は住人数が多い大型高層マンションであるほど難しいです。
さらに、住人同士のコミニケーションが取りにくく、死角が多くパトロールが巡回ににくいといった高層の建築特性があり、「高層になるほど犯罪被害率が高い」というアメリカの調査結果さえあります。
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/187mamo/kaidai.htm
管理とメンテに充分な金を出せるかで住環境に大きな差がついてしまうという特徴があるので、六本木ヒルズやNYの高層コンドミニアムのような高級住宅がある一方、低所得者用住宅のシンボルである欧米諸都市のスラム化した高層団地や、老人の孤独死が問題になっている高島平の高層団地のような所もあるように、高層化がむしろ生活格差を広げてしまう可能性が大きいです。

丸激の「システムに置き換えられてしまった生活世界」「下町商店街的なにおいのある町」といった話はいつも興味を持って聞いています。これらの要素もおそらくかなり重要で、今の首都圏の高度規制緩和などは現実には「ホームベース」を破壊する方向で働いていると感じます。
宮台氏の著書には「駅前再開発されたビルは必ずテレクラの待ち合わせ場所になっている」という調査結果の話が出ていて、凄く興味深い話だと思いました。
テレクラが悪いという議論ではもちろんないですが、これは、ローカルとのつながりを欠いた無記名的な建築と人間の行動の関係を示した話で、かように建築におけるスケールや歴史性や様々な特性は、人間の生理感覚や社会行動、「生活世界」の成り立ちへ無視できない影響を与えるので、住宅問題というのは相当慎重に考える必要があるジャンルだと思います。

April 13, 2006

投稿者 Gershwin 

stuckmanさん、コメントありがとうございます。

>丸激の「システムに置き換えられてしまった生活世
>界」「下町商店街的なにおいのある町」
>といった話はいつも興味を持って聞いています。
>これらの要素もおそらくかなり重要で
>、今の首都圏の高度規制緩和などは現実には「ホ
>ームベース」を破壊する方向で働いていると感じま
>す。
>宮台氏の著書には「駅前再開発されたビルは必ず
>テレクラの待ち合わせ場所になっている
>」という調査結果の話が出ていて、凄く興味深い話
>だと思いました。

 私は現下の日本においては「近代化(単純欧化)・効率化による伝統破壊」よりも「不良債権問題・ローン破綻問題」を直接論じるべきではないかという説を採ります。
 規制緩和と言いながらも、不動産については果たして自由競争などあるのでしょうか。大手住宅建設メーカーがまとまった土地を購入しようと大地主に交渉しても、値上がり期待すら無視していて相続でも無ければ売ることはありません。単なる金融資産(偽装農地化)として抱え込んでしまっています。土地に所有権を認めるという概念自体がおかしいのでは・・・。頑固に抱え込まれてしまうと現行法規ではお手上げなので、ヤクザを雇って脅かして買い取る必要が出てきてしまうというのがバブル時代の反省としてあったはずなのに・・・。政府は学習しているのでしょうか。

 日本的生活世界が近代化(異文化移入)の進展とともに破壊されてきているという、グローバル化を含めた社会学解析については、私はそれは全くその通りだろうと思います。関岡英之著「拒否できない日本」、原田武夫著「騙すアメリカ、騙される日本」、広瀬隆著「赤い盾」あるいは副島隆彦氏の一連の著作を読んだことがあるのですが、確かに日本に欧米巨大資本や制度が移入(日本が世界と相互依存するというグローバル化の枠組みも含めて)してくるということについては、限度を設ける必要があるとは思います。
 しかし一方、地域社会・生活世界などというものは近代化(異文化移入)以外の理由でも、運営のやり方次第で繁栄あるいは荒廃します。
 江戸時代にも既に農業経営破たんによる農村の過疎化(スラム化)進展があったということを猪瀬直樹著「ゼロ成長の富国論」は描いています。江戸時代後期の低経済成長下に二宮金次郎が登場し、藩財政改革(プライマリーバランス)を行うとともに、農民から財を集めて金次郎ファンドによって運用し(報国仕法と呼ばれた)、農民に低利融資することで北関東農村の過疎化を一時的に食い止めたという話です。(金次郎の成功の後に起きたことと言えば、藩財政のモラルがやはり維持できずにうまくいかなかったようです。)

>また、住宅の高層化には様々な副作用があることが
>知られていないと常々感じています。
>東京の、容積率が高いほど地価も高いという比例関
>係を示したグラフを見たことがありま
>す。「都市を高層化して土地の利用効率を高めれば、
>住宅が安くなり住居への負担が減る」という理屈は一
>見正しいように思えますが、
>現実にはその反対に、土地の収益性が増大するため
>に地価の上昇が起こるみたいです。

 元来は更地だけに値段がつくのでは無くて、土地と建物施設の合計が投資対象になるのだということ、つまり収益還元価格のお話をされていると思います。都心部の商業地域は需要に見合って高容積率のビルを建てており、「更地+商業ビル」の価額は需要の高まりとともに上昇しているということですよね。都市中心部の空間が効率化できる分だけ、中心部のマンション用地、郊外の戸建て用地の供給は増えてコストは下がると思います。

 最近では消費者金融が不動産担保ローンで土地の取り上げ(嵌めて殺す)をやっているという問題が出てきています。女性は風俗産業へ連れて行かれるそうです。自治体がリバースモーゲージという平和な土地収用によって都市区画整理を行うことすらしないので、サラ金が土地収用をした方が、現実的な都市整備は早く進んでいくということかもしれません。21世紀の地上げ屋とでも呼べそうです。
 高地価の住居に貧乏人は住めなくなるということは、経済原則に従っているとは思いますが、高利貸しの借金に一生漬けられるのはおかしいです。

 高層化の副作用を心配する以前に、より貧しい段階に日本国民は置かれているような気がしますが・・・。

>低所得者用住宅のシンボルである欧米諸都市のスラ
>ム化した高層団地や、・・・・

>テレクラが悪いという議論ではもちろんないですが、
>これは、ローカルとのつながりを欠いた無記名的な
>建築と人間の行動の関係を示した話で、かように建
>築におけるスケールや歴史性や様々な特性は、
>人間の生理感覚や社会行動、「生活世界」の成り
>立ちへ無視できない影響を与えるので、住宅問題と
>いうのは相当慎重に考える必要があるジャンルだと
>思います。 

 現代の我が日本の場合はと言えば、生活世界の破壊などというレベル以前に「個人の生活が破綻していること」が問題だと言いたいですね。都市部の高層化がスラム化を生む心配をする以前に、スラムにも住めない(スラムすらない)という現象が出現し始めているのではないかと推測します。ニート・フリーターが親のストックを失った時に大きな混乱が起きるだろうと番組でも言及されていました。(ホームベースどころか帰るベンチも無いのかと神保さんは野球に譬えた表現をされていましたね。)
 そして住宅問題については慎重に考えるどころか、何も考えてこなかったことが現下の日本において露呈しているのではないでしょうか。

  都心部における土地利用(経営)の近代化「すら」できないことが理由で、馬鹿高い住居費(ローン)を払わされてウサギ小屋に住まわせられているのではないかと。土地利用の仕方にメリハリが無くてひたすら低階層で横に広げて、偽装農地化を認めて更地供給を抑えるなどすればそりゃ都市部の土地は取り合いになるのでは・・・。「日本は狭い」などという印象操作に私たちは騙されないようにしないといけません。狭くは無いと思いますね。

 そもそも戦後の地元商店街などというものは、商店家屋の地価上昇(高度成長&バブル)による借り入れ能力に依存した赤字経営(税も減ってよかった)に過ぎず、辛うじて持続された「虚業」の商店街だったという説はないのでしょうか(商店街の方、すみません。現在では納税していないと銀行は貸してくれないですよね)。既に「まぼろしの地元商店街」だったのではないかと。そしてバブル崩壊で借り入れ能力が無くなった地方都市から順に個人商店が途絶え始めたのだろうと。大店法規制緩和が無くても同じ結果だったのではないかと想像します。一方、東京中心部など一部の下町商店街が維持されている理由としては、地価のベースが未だに高すぎであるため、地元商店経営に必要な借入額などは、バブル崩壊による資産ギャップが影響しない程度に元々小さくて、瑕疵担保は実態として殆ど無いこと(固定資産税も下がって助かった)という気がするんですが、どうでしょう。(橋本、小渕内閣時代にできた中小企業向け融資政策による延命効果もあると思います。)


 宮台さんは欧州の例をよく出されて、スローフード運動(値段だけで無く生活スタイルそのものが大事)の重要性をおっしゃるが、彼らの生活が何に裏付けられているかという解析(欧州民衆の衣食住のコスト構造の解析)無くして論じても仕方無いと思います。日本はGDPに対して50~60%が公的支出(借換債発行も含む)で、英米独仏のそれらの倍ほどもあるそうですが、欧州も計算法(解釈)によっては実はもっと公的支出が多いということかもしれません。

April 16, 2006

投稿者 stuckman 

お返事ありがとうございます。
住宅ローンの問題の切実さについては異論はなく、いろいろ共感できる点も多く、目からウロコのご意見もありました。
以下は、地価を下げる方法などの細部についての疑問だとお考えください。

> 規制緩和と言いながらも、不動産については果たして自由
> 競争などあるのでしょうか。大手住宅建設メーカーがまと
> まった土地を購入しようと大地主に交渉しても、値上がり
> 期待すら無視していて相続でも無ければ売ることはありま
> せん。単なる金融資産(偽装農地化)として抱え込んでしま
> っています。
> 土地に所有権を>認めるという概念自体がおかしいのでは・・・。

土地に所有権を認めるという概念自体がおかしいという考え方は共感できるものがあります。
欧州などでは一般の個人の土地所有がほとんどなく、それで住宅も安く、建物の資産価値を維持するインセンティブが働いて、いい町並みができてるんですよね。
ただちょっと違和感があるのは、その歴史的経緯は、よくは知らないんですが、少なくとも自由化の結果ではないですよね?
建築規制も日本よりはるかに厳しいですし。

ご意見でちょっとだけ矛盾を感じたのは、最初に、「高い容積率を義務化し、地価低減化で生じる新たな住宅着工需要こそ景気浮揚策と位置付けるべきだ」と述べられいた一方で、マンションの耐用年数を長くし、ノンリコースローンなどの施策によって中古物件を増やすべきだと言われています。
後者については賛成なんですが、では、最初に着工需要が増えたことでマンション建設業者やハウスメーカーの業界規模が拡大したら、彼らは数十年後はどのように食えばいいんでしょうか?
つまり、今の時点で新築の供給を増やすことが根本的な解決になるんでしょうか?

> 元来は更地だけに値段がつくのでは無くて、土地と建物施設の
> 合計が投資対象になるのだということ、つまり収益還元価格のお
> 話をされていると思います。都心部の商業地域は需要に見合って
> 高容積率のビルを建てており、「更地+商業ビル」の価額は需要
> の高まりとともに上昇しているということですよね。都市中心部
> の空間が効率化できる分だけ、中心部のマンション用地、郊外の
> 戸建て用地の供給は増えてコストは下がると思います。

この点ですが、単に郊外の地価が下がるからいいかというと、起こるのは地価の格差拡大と客の取り合いだと思います。
今の首都圏の高層化も、需給に合ったものというより供給側の都合で、懸念されているのは供給過剰ではないでしょうか。人口もオフィス需要もこれから減る中での容積率緩和ですから。
これは、地価を下げるためではなく、地価を上昇させ景気浮揚を図り、不良債権を解消させるのが目的なんだそうです。反対論者は、それはゼネコンと融資している銀行の延命策に過ぎず、供給過剰で新たな不良債権が増えるだけで失敗するだろう、というような議論になっています。
http://www.nhk.or.jp/bsdebate/0307/guest.html#2
諸説あってややこしいんですが、ともあれ私が懸念するのは、「高層化で土地の収益増によって地価を上げて景気を浮揚させる」論者も、逆にbeat & NSX のさんのような「高層化で地価を下げる」という論者も、同床異夢のまま「高度利用が必要」という言い分が利用され、規制緩和が進められる事態です。(リンク先の番組に出ていた五十嵐敬喜氏の「都市再生を問う」には、実際に、バブル期には後者の理屈、その後は前者の理屈で、ひたすら政府が容積率緩和を進めていった過程について書かれていました。)

イギリスの人口当たりの建設関係従事者の割合は日本の四分の一なんだそうです。欧州では日本のようなハウスメーカーという業種もほとんど存在しませんし。欧州諸国のような中古物件市場中心の国では、建設業者はリフォーム業者以外はいらなくなるわけです。
大雑把な言い方になりますが、大きくなりすぎた建設業界を食わすという目的が、日本の高地価や諸政策、「ロクな住宅政策がなかった」ことの背後に横たわっているとはいえないでしょうか。
耐震偽造事件も、高地価が遠因だというご指摘も重要だとは思いますが、競争過多による業者のコスト削減圧力が原因だと考えるのがやはり理解しやすいんじゃないでしょうか。設計士の数も日本は断トツ世界一ですし。

くどいようですが高層住宅の供給過剰による副作用も余計な心配ではないと思いますよ。
上に述べ名ような高層の特性による資産価値の劣化の加速によって、ニート・フリーターの親たちの資産減少が早まる事態にだってなりかねませんし。

住宅ローン負担の軽減は切実な話ですし、安くて需給に見合った住宅市場の活性化なら望ましいですけど、ただ、丸激でのゲスト上村達男氏の証券取引自由化の話ともちょっと似てるんですが、もし規制緩和や自由化を行う場合は副作用を避けるための強力な規制が伴っている必要があるという気がするんです。
政府が無策だったというのはわかるんですが、その代用として土地取引の自由化や規制緩和が正当化されると、もっと悪い方に行きかねないと思います。

April 21, 2006

投稿者 Gershwin 

stuckmanさんコメントありがとうございます。

 建築規制が美しい街並みを作るというご趣旨、同感です。日本だと、区画整理事業・景観条例というキーワードが相当すると思います。ただ、これは土地を金融資産として抱え込まれてしまってはできないことと感じます。リバースモーゲージなどで国・自治体が土地収用するか、低地価政策を誘導して土地収用するか、そもそも土地の所有権を認めないとかしないとできないでしょう。


>単に郊外の地価が下がるからいいかというと、起こる
>のは地価の格差拡大と客の取り合いだと思います。
>今の首都圏の高層化も、需給に合ったものというより
>供給側の都合で、懸念されているのは供給過剰では
>ないでしょうか。人口もオフィス需要もこれから減る中
>での容積率緩和ですから。
>これは、地価を下げるためではなく、地価を上昇させ
>景気浮揚を図り、不良債権を解消させるのが目的な
>んだそうです。反対論者は、それはゼネコンと融資し
>ている銀行の延命策に過ぎず、供給過剰で新たな不
>良債権が増えるだけで失敗するだろう、というような
>議論になっています。


 未だに政府は地価を上昇させようと願っており、私はそれには反対だという趣旨を申しました。”新自由主義規制緩和”と”土地値上がり期待経済政策”の矛盾(新しい政策と古い政策が共存することの矛盾)をstuckmanさんはご指摘されていますが、私もほぼ同じ趣旨を申したつもりです。説明が下手ですみませんでした。


 供給過剰で担保割れが当然と分かっていながら、リコースローンの制度を維持した上で、人々を煽って負債を負わせて依然として高い値段のマンションを買わせるということは許せないというわけです。銀行は調達金利コストゼロで、負債者にリスクを全て負わせてぼろ儲けなんですからね。


 建設業者の過当競争はこれは止むを得ません。私がどうこう言う以前に、不景気で過剰なものが淘汰されているということでしょう。ただし、私が建設業界の方の肩を持つような景気浮揚策を述べた理由は、やはり建設業界にも良い点が無ければ土地制度改革は進展しないと考えたからでした。


 新自由主義では安いものはより安く、高いものはより高くなる筈ですが、土地に関しては安いところをもっと安くしてくれないと低所得者は家無しになってしまいます。現在、容積率緩和が景気対策絡みで進行中なのは私も存じていますが、それでも今なお高過ぎるというのは私の単なる思い込みなのでしょうか。住宅価格の年収に対する比が今よりぐーんと下がればリコースローンでもまだ耐えられ人は多くなると思いますが・・・。(”リコースローンは民族資本銀行保護という国策に適う”を是とするなら、そのかわり住宅価格はうんと下げて貰わねば。)


>「高層化で土地の収益増によって地価を上げて景気
>を浮揚させる」論者も、逆に


 先に申しましたように、それは高層化して利回りの高い土地のみ地価が上がるということではないでしょうか。すでにそういう時代に入りつつあると思います。利用の仕方によって地価の格差は拡大すべきであるということも私の趣旨です。(中心街では高度利用すべしであるということ。)
 ところが実際は何億円もする都心の一等地でやっていたタバコ屋を閉めて、ひっそりと年金暮らしという老人もいたりするわけです。これは高度利用に強力していただかなければ。
 

>上に述べ名ような高層の特性による資産価値の劣化
>の加速によって、ニート・フリーターの親たちの資産減
>少が早まる事態にだってなりかねませんし。


 親のストックに寄生できるということ自体、本人から見れば償却の済んだ資産を利用していると考えられませんでしょうか。資産の減少よりもリフォーム代の心配が先に立つと考えられるかと。


>ただ、丸激でのゲスト上村達男氏の証券取引自由化
>の話ともちょっと似てるんですが、もし規制緩和や自
>由化を行う場合は副作用を避けるための強力な規制
>が伴っている必要があるという気がするんです。
>政府が無策だったというのはわかるんですが、その
>代用として土地取引の自由化や規制緩和が正当化
>されると、もっと悪い方に行きかねないと思います。


 全くご指摘の通りと思います。副作用は避ける必要があると私も思います。土地取引についての副作用としてサラ金の不動産担保ローンによる土地取り上げ収容の例を先に述べました。犠牲が大きいので何とも言い難いですが、後世の人々はこれがきっかけで都市再生ができたなどと評価したりするのでしょうね。
 実際は土地取引はバブル絶頂期にいきなり規制強化に向かったため、それがバブル崩壊のきっかけ(あくまできっかけですが)になったのでした。元来土地取引は自由であるべきで、なおかつポリシーの通った都市計画(つまり規制)が必要だということも自然な考えだと認識しています。


 私は権利と義務の両方を土地所有者は負うべきと申しました。規制も必要とは思いますが、現段階ではまだまだ地価が高すぎて、下げるための緩和措置の方が重要視されてよいのではないかと考える次第です。

 
 細かいことを色々と書きましたが、私はマル激の論調であるグローバルな視点を持ったリベラル思想については疑問を感じます。私が貧しくてリベラルは贅沢者の戯言だなどとと言いたいのではありません。
 グローバルな相互依存関係(途上国からの搾取など)によって日本人の豊かな?生活が成り立っていることは当然の事実と思います。しかしながら、ドメスティックな土地利権の調整もできない程度のこの国が、外交で何事か成し得る(亜細亜主義の成就など)とは到底思えないのです。

April 22, 2006

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