土井たか子さんと宮台さんの改憲論争@丸激
Tweet 丸激がちょぼちょぼやっている憲法シリーズの一環で、先週ゲストに土井たか子さんをお呼びして、改憲の是非を議論しました。
私自身は土井さんとはながくおつきあいいただいているので、ある程度土井さんの生の声を聞く機会がある方だと思いますが、世間一般にとって土井さんといえば、コテコテの護憲派のシンボルのような存在だと思います。中には、土井さんの護憲論には理論も理念もなく、単に「何を言ってもダメ」的な問答無用の護憲論者のように思われている向きも少なくないかもしれません。
その土井さんが、改憲論者を標榜する宮台さんと、時間をたっぷりかけられるインターネット放送で対論するとあっては、どんな展開になるかを楽しみにしない方が無理というものです。正直、司会者の立場を忘れて、今回はじっくり双方の議論を聞かせてもらいましょう、とばかりに、一視聴者のような気持ちで番組の収録を行いました。
そして、その番組ですが、まずはすごく面白かったです。護憲論者と改憲論者の論争というのは大抵の場合、なかなか議論が噛み合わず、最後は感情的な議論になってしまったり、イデオロギーの違いであるとか、見解の違いということで、もうそれ以上は議論しても意味がない、というような内容になることが少なくないので、2人の議論が噛み合わなかったらどうしよう、とか、喧嘩になったらどうしようとか、番組側として一抹の不安がなかったかと言えば嘘になります。しかし、今回はそんな心配はまったく不要でしぃた。最後の最後まで希に見る楽しい憲法論争でした。憲法論争が「面白い」なんてこと、なかなか無いことだと思いません?
本来であれば私などの勝手な理解を皆さんにお伝えするよりも、皆さんに番組を見て頂いて、両者の生の声を聞いていただくのが一番だと思いますが、ここにはビデオニュースの会員以外の方も来られると思うので、両社の双方の主張は総論的にかいつまんで言うと、まあだいたいこんな感じでした。
まず宮台さんが、
現行の憲法は明らかに蹂躙されていて、つまり、イージス艦のインド洋派遣だの自衛隊のイラク派遣だのガイドライン法制だのいった、明らかに現在の条文を踏み越えた行為が大手を振って行われているので、既に憲法の役割を果たせていない。
↓
このままでは、憲法を踏みにじる行為がまかり通る状況が続き、特に防衛については、まったく歯止めがないに等しい状態に陥っている。
↓
これではアメリカから求められれば、それが憲法に触れようが何だろうが、何でもやるしかない。
↓
アメリカの言いなりにならないようにするためには、アメリカの要求を拒絶する上での後ろ盾となる実効性のある憲法を取り戻す必要がある。それが吉田茂らが憲法を戦略的に利用してきた伝統でもある。
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よって、まず憲法が空洞化している状態を解消すべく、現状に即した憲法、つまり軍隊の保有や集団的自衛権の行使を認める憲法に改正した上で、あらたな歯止めとして、国連などマルチラテラル(多国間)の枠組みの歯止めを導入する。もっとも国連などの状況は常に変化しうるので、憲法に国連云々と書き込むのではなく、改憲と同時に安全保障基本法を定め、その中で具体的にどのマルチラテラル機関の決定を日本の防衛力行使の歯止めとするかを定める。
かなり端折ってはいますが、まあだいたい大枠ではこんな感じだと思います。(宮台さんの憲法論をもっと知りたい方は、1)会員になって過去のバックナンバーを含む丸激を見る、2)宮台さんのブログに行く、3)宮台さんの本、特に奥平泰弘先生との『憲法対論―転換期を生きぬく力』平凡社新書を読む、ことをお薦めします。)
これに対して土井さんの立場は、もちろん護憲は護憲なのですが、まず、最終目的のところで、アメリカの言いなりになっている現状を変えなくてはならないという出口の部分では、宮台さんとほぼ一致していたように思います。
ただ、土井さんは
現行の憲法が守れない国には、憲法を現状に即したものに変えたところで、それならば守れると考える根拠はない。
↓
アメリカ一辺倒の外交から脱却するためには、憲法を変える前に、やることがたくさんある。まずはアジアをより重視(宮台さんもこれは同じ)した外交政策に転換し(宮台さんもこれは同じ)、アメリカへの依存度を弱めていくべき。
↓
そうした上で、アメリカに追随する形ではなく、マルチな外交力によって、軍事力を持たずとも安全保障を担保できるようになることが理想。それを目指すべき。
これも、大変な要約ですが、それほど大きくは間違っていないと思います。
番組では、ここまで議論するのに1時間半以上を要し(だから要約と言ったでしょう)たために、話を聞けば聞くほど目から鱗が落ちるような新しい発見があると同時に、実は話を聞けば聞くほど新しい鱗が生えてくるように新たな疑問が頭をもたげてきたりもしました。
私の疑問点は、また別の機会に明らかにしていきたいと思いますが、今回の議論は掛け値なしで一見の価値はあると思います。まずはできるだけ多くの方に土井たか子ー宮台真司の改憲論争を聞いていただきたいと思います。
June 3, 2005
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[社会]土井たか子さんと宮台さんの改憲論争@丸激 from Watermark
土井たか子と宮台真治が改憲論争をしたようです。 http://www.jimbo.tv/videonews/000102.php
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コメント
>今回はそんな心配はまったく不要でしぃた。
「しぃた」は誤字だと思います。もしそうなら修正お願いします。
もう一ヶ所誤字を見つけました。コメント者への注意文で、
>(いままで、ここでコメントしたとがないときは
「こ」が抜けています。修正お願いします。
June 5, 2005
なかなか難しい内容でしたが、面白かったですね。
私も土井さんのことは、日頃宮台さんが叩いている、教条的左翼(?)の代表のような人だとイメージしていましたが、その主張は、基本的に出口(理念)は同じだが、それに至る方法論や、プライオリティの違いだ、というのが分かり興味深かったです。
ただ、土井さんが主張する非武装中立の実例として、コスタリカを参照するというのは、どの程度リアリティのある提案なんでしょうか? 詳しいわけでは無いですが、実際は単純に“軍隊を持たない国”と、賞賛できるような簡単な話では無いようですが。(土井さんも分かりやすい例として出されているのかも知れませんが、逆に突っ込みどころになってしまう気も・・・)
一番気になったのは、憲法に対する理念もさることながら、土井さん達の主張を、世の中の多くの人々が、どのように見ているのか?という部分です。選挙の結果も含め、相当キビシイというのが私の実感ですが、ご本人はどの程度までそれを実感されているのでしょう? 「日本の憲法はすばらしい。だが、いくらカナリキ声を上げても伝わらない」という言葉も、「どう見えているのか?」という認識の危うさを表しているような気がします。
もし、本意が伝わらないとしたら、何かしらプレゼンテーションを変える必要があるのでは? それでもダメなら主張の一部、あるいは方法論を見直す気があるのか無いのか?が、知りたいところです。
「ヘタに譲ると返って乗じられる」という土井さんの主張も分からなくはないのですが・・・
また戦闘行為について「攻められたらお終い」と仰っていたのも気になります。これってやはり無抵抗主義なんですかね? 逆の言い方をすると、一体どのような条件が揃ったら「戦闘行為止む無し」となるのか? 次回はその辺も議論してもらえたらなあと思います。
なんか文句ばっかりつけているようですが、確固たる信念を持たれているのは立派だと思いますね。
つい「お花畑的な主張」と簡単に片付けちゃいそうですが、じゃあ、自分の「憲法意思」は何だ?と言われたら私なんか困っちゃいます。ケチは付けられるけど、主張は無い・分からない、というのが本音ですから。
おそらく、こういった人間が多いために、日本で憲法が実効性を持たないのでしょうね。
しかし、憲法シリーズは勉強になります。反対側の意見の人の主張も含めて、これからも続けてほしいです。
あと、細かいことですが、宮台さん的には土井さんのような主張をする人が居てくれた方が、持論を両極から相対化できて都合が良いだろうな、とも思いました(笑)
June 9, 2005
えぇ~今日、憲法論壇をみました。
私は、宮台さんの本をあまり読んでないせいか、土井さんが憲法教条主義かどうか色眼鏡はない。ただ、今回の土井さんの主張は、当たり前のことを当たり前にいってる感じがした。つまり、「憲法改正しようがしまいが、アメリカのけつなめをしないように外交をすすめないとどうしようもない」ということだ。
これを聞くと、テンションがさがってしまう・・・やはり、落としどころはそこか~と。というか、これこそ、憲法教条主義者の主張なのではないかと思う。憲法論壇をアメリカけつなめ外交を批判することにより、うやむやにする。いまどき、知的ぶってる人なら誰でも言う、東アジア重視外交・・・嫌悪感を感じてしまう(東アジア重視外交そのものではなく、この方針を今ここの対談でいうことに)。
そもそも、自衛隊を憲法違反と思いつつ、国民は自民を肯定してきたので、国民は、憲法違反を許容してきた。そして、イラク派遣も。憲法が国民の統治機関への命令ならば、違憲行為をする政府は罰するべきだが、それを国民が許容するなら、話は別と思ってしまう。つまり、憲法を履行しないのが悪いのか、履行できない憲法
がわるいのか。日本は後者であると思う。前者なら政府は断罪です。
もちろん、このことは、憲法が正常に認識されず、機能していない。だけど、憲法履行できない現在、改憲意味成さずと言うのは、簡単だけど、ずるい。あたかも、自分はイノセンスのようによそおう。お前は小林よしのりに投書する「私は今までだまされていた」という(・・)か!
護憲で憲法の履行を要求するなら、ちゃんと、アメリカけつなめが合法の憲法ならいいのか!っていわれたくないから、マルチな外交なんかをいっているかんじがしてしまう。(せめて、芦田修正で・・)
最後に、本音でいうと。国際社会に恥をさらしても、国益を逸しても、変化がほしい。
June 21, 2005
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