アメリカで2頭目のBSEか

 アメリカで2頭目のBSE感染牛が確認されたようです。
 農務省は予備的な検査で陽性、2回目の検査は陰性だったが、3回目では再び陽性だったとしています。

 これまでも繰り返し指摘してきましたが、アメリカでは2003年12月にカナダから輸入された牛に最初のBSE感染が確認された後も、年間40万頭弱の牛しか検査対象にはなっていません。これはアメリカで毎年出荷される約3500万頭の牛の1%強に過ぎず、残りの99%弱の牛は、月齢を問わずまったくBSE検査は行われていないということです。3500万頭のうち40万頭を見てみたら2頭目のBSE感染牛がいたということは、残る99%の中にはまだまだ潜在的には多数のBSE感染牛が存在する可能性が高いことを意味しています。ちなみに、2003年の12月に最初のBSEが確認されるまでは、年間2万5千頭しか検査されていませんでした。たった1頭とは言え、0.1%以下を対象とする検査で1頭が出たことの重要性は、既に指摘してきた通りです。

 また、アメリカは牛肉の安全性は検査ではなく、SRMの除去が担保するものであると主張していますが、SRMの除去という作業が、丁寧に行うためにはとても手間のかかる作業で、現在のアメリカの大手食肉業者のように、1時間に400頭もの牛を解体・出荷している体制のもとで、SRMが完全に除去されているかどうかについては、多いに疑問が残ることも、これまで繰り返し指摘してきました。

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June 11, 2005 | コメント (0) | トラックバック (4)

もはや美談では済まされない(残念!)、
ウォーターゲート事件『ディープスロート』の正体

 ジャーナリズムが地道な取材で権力者の不正を暴き、ついには最高権力者を辞任に追い込む。調査報道の金字塔として、多くのジャーナリストに少なからず影響を与えたウォーターゲート事件の匿名情報源として事実の究明に決定的に重要な役割を演じたとされる謎の人物『ディープスロート』の正体が、先週明らかになった。
 ここまで日本では元FBI副長官のマーク・フェルト自身が雑誌インタビューで自らがディープスロートであったことを名乗り出たことのみが、ほとんど解説無しで報じられるようだが、実際は後に映画のタイトルともなった「大統領の陰謀」の陰の立て役者が、実は警察の高官だったという事実の持つ意味は重い。

 ウォーターゲート事件が明るみに出る直前の1972年5月、48年間FBI長官の座に君臨し続けたJ・エドガー・フーバーが死亡した。ニクソン大統領は、フーバーの後任にFBIの生え抜きではなく、自らの腹心で司法次官だったパット・グレーを据え、グレーはFBIのフーバー体制の刷新に手をつけ始めたところだった。FBIのナンバー2の座にあったフェルトはフーバーの片腕ともいうべき人物で、実際にフェルトがFBIの違法捜査の陣頭指揮を執っていたとさえ言われている。強権的警察の象徴とも言うべきフーバー体制の実行部隊の親玉がフェルトだった。
 (現にフェルトはカーター政権下で違法捜査で起訴されているが、レーガン政権が誕生してまもなく、レーガンはフェルトに特に理由も明記せずに恩赦を与えている。何だよ、レーガンよ、お前もか。) 

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June 5, 2005 | コメント (2) | トラックバック (9)

JR西をバッシングしても、いいこと何もありませんよ

早くこんなことを書かなければと思いつつ、次々と襲いかかる原稿の締め切りに追われていたところ、我が畏友の下村健一氏が、まさにそのものスバリのコメントを自身のウエッブサイトに載せていました。のろまの私のコメントはさておき、まずは下村氏のコメントをご紹介しておきます。


"怒り"のオーバーラン、していませんか?
下村健一オフィシャルウエッブサイト  2005年5月02日
http://www.ken1.tv/message/message050502.html


 確かにここ数日のメディア報道、とりわけテレビのニュース報道を見ていると、JR西日本が事故原因の究明の妨げとなるような行為を行っていたことと、ボーリング大会だの宴会だのといった、道義的な側面、もしくは心情的にはちょっと無神経過ぎるのではと思わせる行為に対する批判とが、ごちゃまぜになってしまっています。あれでは当のJR西日本の職員たちが、単なるバッシングの標的(というか、感情のはけ口と言うか)にされているとしか感じなくなってしまう危険性が大です。

 あれだけの事故を起こしておきながら、事故に関わる情報を隠蔽したり歪曲したりする行為は無論断罪されなければなりません。しかし、その本質論とはちょっとずれたところで、感情論が先走り始めている感は否めません。記者会見で記者がJRの担当者や役員を叱りつける行為などにも、強い違和感を覚えます。今こそメディアの役割とは何かを、再確認する必要があるでしょう。

 自身のウエッブサイトで下村氏も指摘しているように、感情的なバッシングが行き過ぎると、JR西日本側は何を言ってもどうせ叩かれるだけ、のような被害妄想状態に陥り、それが彼らをより殻に閉じこもらせる結果になりかねません。それは恐らく原因究明の妨げになったり、正しい事実認識を難しくしてしまうでしょう。

 大勢の人が亡くなった悲劇の後だからこそ、今こそメディアは公器としての矜持を、そして受け手側は高いリテラシーをもってメディア報道の内容を見極める必要があるように思います。

May 6, 2005 | コメント (12) | トラックバック (35)

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