なぜ今インターネット放送なのか(論座10月号寄稿原稿)

なぜ今インターネット放送なのか
神保哲生(ビデオジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表)
 今年3月のいわゆるホリエモン騒動のさ中、日本では珍しくジャーナリズムの公共性をめぐる論争がメディアを賑わせた。これはライブドア堀江貴文社長の「既存のジャーナリズムはもはや不要」との主張に対して、メディア関係者らが「放送の公共性」や「ジャーナリズムの社会的役割」などを盾に反論する形で繰り広げられたものだった。
 堀江氏のこの発言の真意はさておき、氏のジャーナリズム不要論に対し、既存のメディア側が主張した「メディアの公共性」に対する一般市民の反応はいたって冷ややかだった。少なくとも筆者にはそう感じられた。一般市民の目には、既存のメディアはもはやジャーナリズムが本来担うべき公共的な役割を果たせていないと映っていることは明らかだった。
 一連のホリエモン騒動を見るまでもなく、日本の主要メディア、とりわけ地上波放送局は今ジャーナリズムの担い手として危機に瀕している。資本の過度な集中からくる企業としての肥大化とそれに伴う商業主義の追求が、ジャーナリズムに求められる公共性との両立を困難にしているのだ。そして、それこそが、5年前に筆者がニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げた理由でもあった。

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November 14, 2005 | コメント (1) | トラックバック (1)

新聞への提言(東京新聞10月18日夕刊寄稿原稿)

新聞よ!
なぜ権力チェック機能を失ったかを今こそ再点検する時

 今更言うことでもないかもしれませんが、ジャーナリズムのもっとも重要な役割は権力のチェックです。とりわけ、絶大な権力が集中する国家権力の監視は、「それなくしてジャーナリズムに存在価値無し」と言い切ってもいいほど、ジャーナリズムの最低限の責務と言っていいでしょう。
 しかし、ジャーナリズム、とりわけその中心的な担い手であるはずの新聞が、その使命を完全に喪失してしまっているとしか思えないようなできごとが、昨今頻繁に起きています。特に朝日新聞が報じたNHKへの政治家の圧力問題と、その報道をめぐる市民社会の反応、そして朝日側の事後の対応は、その冷酷な現実を露わにしたように思います。
 この一件では、取材の過程で朝日側にも多少は詰めの甘さがあったのかもしれません。しかし、もし仮にことのあらましが政治家側の主張する通りであったとしても、あの記事には明らかに真実相当性があったと筆者は考えます。政治家側がNHKを呼びつけたのかNHK側が勝手に来たのかなどのディテールにいくつか不確かな点はあったとしても、国政に多大な影響力を持つ有力な国会議員が、結果的に言論に介入した疑いが強いと思われる場合、警鐘を鳴らすことはジャーナリズムとしては当たり前過ぎるくらい当たり前のことです。
 その意味で、今回は他にも不祥事が重なったとはいえ、朝日新聞がこの問題で簡単に自らの非を認めてしまったことは、ジャーナリズムの将来に重大な禍根を残すことになってしまったと思います。

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November 13, 2005 | コメント (4) | トラックバック (3)

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