WEB2.0は本物か

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マル激トーク・オン・ディマンド
第285回[2006年09月15日収録]
WEB2.0は本物か

ゲスト:大津山 訓男氏(アットマーク・ベンチャー株式会社代表取締役社長)

<プレビュー>

 「WEB2.0」という言葉が、飛び交っている。一般的には情報が個別に存在していたWEB1.0時代に対し、双方向性をもって情報のやり取りができるインターネットの進化をあらわした概念とされるものだが、その象徴とされるSNSの最大手mixi(ミクシィ)が今週東証マザーズに上場した際には、買い手が多すぎて初日で値がつかないほどの人気ぶりだった。どうやらWEB2.0バブルとも呼べそうな現象が起きつつあるようだ。
 しかし、2000年にWEB1.0バブルがはじけた時のように、このバブルも早晩消えゆくものなのだろうか。はたまた、WEB2.0は本物なのだろうか。
 インターネットの黎明期から長年ウエッブビジネスに深く関わってきた大津山氏は、WEB2.0の真価はこれから問われることになると説く。例えばミクシーはまだ「デジタル井戸端会議」でしかないが、これがカーナビや家電製品と融合すると、ウェッブビジネスは新たな段階に突入する可能性を秘めていると言うのだ。「バブルな状況はあるが、決してそれだけでは終わらない実態もある。」これが大津山氏のWEB2.0の見立てだ。
 大津山氏はまた、WEB2.0の本当の意味を、「今までウェッブビジネスをパソコンやマイクロソフトに独占されてきた自動車メーカーや家電メーカーが、巻き返しを図るビジネスチャンス」と位置づける。CPUの性能が上がると同時にブロードバンドや無線のインフラが整備されたことで、自動車やあらゆる家電にもネット機能が盛り込まれることになる。そしてそれは、OSやPCに依存しないウェッブ利用が可能になることをも意味するからだ。現にグーグルは、ネットにつながりさえすればOSもソフトも一切必要のない、すべてはウエッブ上で利用が可能な100ドルのPCを売り出し始めていると言う。
 果たしてWEB2.0に実態はあるのか。これもまた一つのバブルとして消えてゆくのものなのか。それとも、今回は本物なのか。仮に本物だとすると、それは私たちの生活にどう影響し、社会をどう変えていくのか。ウエッブ界の仕掛け人大津山氏とともにWEB2.0を議論した。

September 17, 2006 | トラックバック (1)

小泉劇場が最後までお客に飽きられなかった理由

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マル激トーク・オン・ディマンド
第284回[2006年09月06日収録]
シリーズ『小泉政治の総決算』その6
小泉劇場はなぜ飽きられなかったのか

ゲスト(PART1):世耕弘成氏(参議院議員)
ゲスト(PART2):篠田博之氏(「創」編集長)

<プレビュー>

 小泉政権の5年間を検証するシリーズ企画の第6弾は、「小泉政治とメディア」をテーマに取り上げた。前半は小泉政権のもとで党の広報戦略を取り仕切った世耕弘成参議院議員、後半では長年マスコミを見てきた雑誌「創」編集長の篠田博之氏をゲストに迎え、小泉政権がなぜ改革のイメージを維持することに成功し、高い支持率を維持し続けることができたのかを議論した。
 NTTの広報マンから参議院議員だった伯父の地盤を引き継いだ世耕氏は、小泉政権以前の自民党では民間企業では当たり前に行われているような広報体制が、まるで確立されていなかったと言う。そのため安倍幹事長の下で広報体制の刷新を委ねられた世耕氏は、PR会社の採用や情報管理の一元化など、基本的な広報体制の整備を進めた。その成果が如実に表れたのが05年9月の郵政選挙だったと世耕氏は言う。あの選挙で自民党は、PR会社や世論調査機能を駆使しながら、郵政一本で押して本当に有権者がついてきてくれるかどうかの難しい判断を下し、選挙に勝利した。「あの選挙の大勝で党内に広報の重要性がある程度は認識された」と自負する世耕氏は、「次は官邸の広報体制だ」と、安倍晋三氏の側近中の側近として、早くも次期政権の広報体制にまで思いを馳せる。
 他方、『創』の篠田編集長は、小泉政権は国民の期待感を高め、「国民に近い総理」を演出することに成功したが、本来その中身をチェックするはずのメディアが、その義務を怠ったために、総理の高い人気が続いたと指摘。今日のメディア関係者の間では既に「メディアは権力を批判するもの」との前提が成り立たなくなっていると警鐘を鳴らす。「小泉劇場」が人気を博し続けることができたのは、「政権のメディア操縦のうまさと、メディアの権力チェック機能の弱体化」の両方が背景にあると篠田氏は言う。
 なぜ、イラク戦争への自衛隊派遣や靖国参拝、弱者切り捨てと格差の拡大などの困難な課題を抱えた小泉政権が、これほど長期にわたり国民からの高い支持を維持することが可能だったのか。小泉劇場においてメディアはどのような役割を演じたのか。安倍政権下では政治とメディアとの関係はどう変わるのか。小泉政権のメディア戦略の成功の背景と影響を世耕氏、篠田氏と共に考えた。

September 17, 2006 | トラックバック (0)

植草氏がまた逮捕

植草一秀氏が昨夜(13日夜)電車内で女子高校生(17)の尻を触ったとして、警視庁によって都迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されていたことを、今日の報道で知りました。

植草氏の逮捕については、ほんの数週間前にビデオニュースの番組にゲスト出演していただいていますので、ビデオニュースとしても何らかの対応は必要になると考えていますが、例によって事実関係がまだきちんとわからないうちに、世の中は一つの方向に向かって一気に動いてしまっているので、とても対応に苦慮しています。

すでにビデオニュースの方には「責任をとれ」「謝罪しろ」的なお怒りのメールも何通か届いているようです。

まだ事実関係がわからず、報道でも本人が否認しているらしいことなどから、ある決めつけに基づいた軽々な行動は差し控えるべきだとは思いますが、世の中、なかなかそんなものを待ってくれそうもありません。

植草さんの前回の逮捕の時は、本人が「容疑を認めている」と報道されたことが、事件に対する社会の見方を決定づけたという面が多分にあったように思います。しかし、その後氏が全面否認に転じたことはほとんど報じられませんでした。なので、今回ももう少し事実関係がわからないと何とも対応のしようがないのですが、一方で世の中では「植草がまたやった!」的な流れが既にできあがってしまっていて、それに抗うのは至難の業になっているのも事実だと感じています。植草さんは前回も、裁判も始まらないうちに、大学やコメンテーターの仕事を全て解任されたと聞いています。

それにしても、「ほら見ろ。だからああいうやつは出すべきじゃなかったんだ」とか「出したお前にも責任がある」的な批判に対してはどのように対応するのが報道機関としての責任ある姿勢ということになるのでしょうか。内容が内容ですから無視できるものではないことは重々承知していますが、それと同時に、では、「はい、確かに植草さんを番組に出したのは間違っていました。すみませんでした」と、謝ることが正しい対応なのかどうか。

報道機関というのは、ある程度のリスクを背負い込む覚悟は必要なのではないかとも思います。そのようなリスクから逃げていては、報じられる内容が限られてしまったり、報道内容が萎縮しまったりするのではないかと思ったりもします。

しかし、その一方で、報道機関は信用が命です。リスクを背負った結果それが顕在化してしまい、信用を落とすような結果を招いてしまっては、元も子もないようにも思います。

今週の火曜日京都で『OhmyNews』のオ・ヨンホ(呉連鎬)代表 とトークイベントをやってきましたが、呉氏は素人記者(市民記者)が記事を寄稿して成り立っているオーマイニュースを新しいタイプの報道機関と位置づけていました。「プロによらない報道機関」もあることを考えると、報道機関とは何なのかを、あらためて考えさせられました。

いずれにしても、新しいメディア作りに挑んでいる以上、まさにこういうプレッシャーに負けてはいけないんだなとも思いつつ、でもこれは私一人で背負い込むには少々荷が重いリスクだな、とも感じ始めている今日この頃です。

いつもの皆さんのご意見に深く感謝します。

September 14, 2006 | トラックバック (0)

いま マスコミに問われているものーネット時代のジャーナリズムとは?ー

必ずしもタイトルの内容通りにはなりませんでしたが、何カ所か面白いやりとりがあったイベントだったと思います。
第一部の竹内さんの基調講演も、私にとってはかなりインパクトのあるお話でした。
ビデオニュース・ドットコムで全編を無料放送中です。

プレスクラブ
収録日:06年7月8日(2006年09月07日)
公開シンポジウム
「いま マスコミに問われているものーネット時代のジャーナリズムとは?ー」
(於 日本プレスセンター)

第1部 講演
「ネット時代のジャーナリズム」
講演:竹内謙氏(日本インターネット新聞社代表取締役社長)

第2部 パネルディスカッション
「ネット時代のジャーナリズムとは?」
司会:高成田享氏(朝日新聞社論説委員)
パネリスト:
湯川鶴章氏(時事通信社編集委員)
松澤雄一氏(神奈川新聞社デジタルメディア局長)
金平茂紀氏(TBSテレビ取締役報道局長)
神保哲生氏(「ビデオニュース・ドットコム」代表)

September 8, 2006 | トラックバック (1)

今週のマル激は小泉劇場の演出・広報担当の世耕参院議員と『創』の篠田さん

今週のマル激は小泉政権の総決算の第6回(最終回)として、「小泉政治とメディア」を取り上げます。ゲストは参議院議員で小泉政権で一手に政権のPRを裏で仕切った世耕弘成さんと、雑誌『創』の篠田編集長です。

世耕さんは安倍さんの側近中の側近としても知られているので、次期政権の構想なども少し聞けるかもしれません。

実は毎回番組内容を事前に告知せよとのご要望を多くの方から頂いているのですが、そして、私としてもそれができればそうしたいのは山々なのですが、正直を申し上げると、週によっては収録の前日まで番組内容もゲストも確定しないことが少なくありません。今週も世耕さんが正式に確定したのは前日の夜でした。

メディアの方はご経験があるかもしれませんが(いや、地上波テレビでは、出たい人がいくらでもいるでしょうから、局側が一声かけただけでも誰でも出てくれるのかもしれませんし、そもそも番組側もそういう人しか出そうとしていないのかもしれないので、今のメディアの方にはこの苦労はお分かりにならないかもしれませんが・・・)、何か意味のある活動をされている方や多くの人がその人の話を聞きたいと考えている方に限って、皆さんとてもお忙しく、日程を直前まで確定できない場合が非常に多いのです。

ビデオニュースでもブッキングと日程調整にはかなり苦労しています。とにかく最低でも出演者が3人いるので、ゲストのみならず、それぞれの出演者の日程も調整しなければなりません。

比較的安全なゲストを早い段階で決めてしまえば、そのような苦労は少なくて済むのですが、少しでも魅力的な番組にするためには、ゲストはやはり重要なファクターになると考えています。そこはやせ我慢をしてでも、なかなか出ていただけない人に出てもらえるよう直前まで粘るのを、ビデオニュースとしてはモットーにしたいと思います。と言うか、それも報道機関のごくごく当たり前の仕事の一つだと考えています。

ゲストや内容が事前に決まっていて、しかも告知する余裕がある時はできるだけそのようにしたいと思いますが、背景にはそんな事情もありますので、どうがご理解下さい。また、告知をしておきながら実際の番組内容が直前に変更になったりした場合は、「あー、スタッフの皆さん今週は苦労してるんだな」と同情なり苦笑なりをしてお許しいただけるととてもありがたいです。

今週は土曜日の比較的早い時間帯に番組を更新できると思います。

September 7, 2006 | トラックバック (0)

植草さんの小泉批判は痛快でした

いろいろあったからかどうかはともかく、植草さんの小泉批判はとにかく痛快です。
ぜひご笑覧を。
今回は収録時間が早かったので、土曜の午後にはアップされる予定です。


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marugeki_283_uekusa.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第283回[9月1日収録]
シリーズ『小泉政治の総決算』その5
小泉内閣は改革政権にあらず

ゲスト 植草一秀氏(名古屋商大大学院教授)

<プレビュー>

 小泉政治を検証するシリーズ企画の第5弾は、小泉政権の経済改革に一貫して異論を唱えているエコノミストで名古屋商科大学大学院の植草一秀教授をゲストに迎え、小泉政権の5年間の経済政策とその影響を議論した。
 まず植草氏は小泉政権が、構造改革によって日本経済を復活させた政権であるとの一般的な評価に対して「笑止千万」であると、この見方を全面的に否定。「通信簿で言うなら、一旦「オール1」までさがった後に、ちょっと成績が上がった」ため、大多数の国民があたかも改革が成功したかの錯覚に陥っていると酷評する。
 そもそも小泉政権は改革の2本柱として国債発行を30兆円以下に抑える緊縮財政と不良債権処理を推進することで退出すべき企業は退出させる方針を明確に打ち出していた。しかし、この政策によって日本経済は金融恐慌寸前の状態に陥り、政権発足2年後の03年の4月末には株価が政権発足時の約半分の7000円台にまで暴落した。
 そこで小泉政権は、自ら掲げた改革路線を180度転換させ、退出すべき企業も救済すると同時に、緊縮財政廬論もかなぐり捨て、国債発行30兆円枠も自ら放棄した。
 その政策転換が顕著に出たのが、03年5月のりそな銀行の救済だったと植草氏は言う。本来破綻処理されるべきりそなを、監査法人による不透明な自己資本比率の査定によって救済対象とした上で2兆円の公的資金を注入して、りそな銀行を存続させた。この時「退出すべき企業は退出させる」改革路線の放棄が明確になり、株式市場はその安堵感から上昇に転じた。これが小泉改革が終わった瞬間だった。この夏を機に日本経済は回復に向かったが、それは小泉政権が「改革」を放棄したからであって、それを改革の成果と主張するのはまったくのナンセンスであると植草氏は主張する。
 また、「とは言え、結果的に景気が回復したのだからいいのではないか」との指摘に対しては、退場させるべきプレーヤーを退場させずに救済したことで、重大なモラルハザードを招いたことを忘れてはならないと植草氏は警告する。不透明で中途半端な政策転換により、日本経済は再びバブルを起こしやすい体質を抱え込むことになってしまったというのだ。
 他方、小泉改革が残した負の遺産は非常に深刻化だ。植草氏によると、小泉政権前期の「改革」により、日本経済は極度の劣化を起こし、失業や倒産が増加、多くの中小企業経営が路頭に迷ったり、自殺に追い込まれたりした。しかもその間、生活保護や老人医療費、健康保険の給付、身体障害者の支援などは一貫して減額されており、小泉政権の5年間で低所得者や過疎地域の「少数弱者」の切り捨てが徹底して進んだと指摘する。
 しかし、植草氏は小泉政治にはより大きな罪があると言う。それは、「構造改革」の名のもとに行った様々な制度改革はその内実をよく見てみると、実際はこれまで日本の政治を支配してきた旧田中派の建設・運輸関連と郵政関連の利権を破壊し、それを小泉氏自身の出身母体となっている財務・金融利権へと塗り替えただけでのものに過ぎないというのだ。そこには国民の生活をよりよくするなどの「国民の側に立った視点」はまったく欠如している。しかも、その「利権の移動」を、アメリカの後ろ盾で行いながら、アメリカのファンドなどにはしっかりと稼がせているという。これが、植草氏が、小泉改革を「売国奴的」とまで呼んで酷評する最大の理由だ。
 小泉政権の経済政策は何を壊し何を救ったのか。小泉政権の経済改革で、われわれ国民はより幸せになったのか。安倍政権が小泉改革路線を継続した場合、今後日本経済にはどのような影響が出るのか。植草氏と共に考えた。

September 2, 2006 | トラックバック (1)

「現在の日本のナショナリズムは危険な状態」加藤紘一氏

press_060829_kato.jpgプレスクラブ (2006年08月29日)
「現在の日本のナショナリズムは危険な状態」
加藤紘一衆議院議員講演(東京・外国特派員協会)
 東京(8月29日) ― 今月15日、右翼団体の構成員に山形の実家を放火された加藤紘一氏が、29日、外国特派員協会で講演し、現在の日本のナショナリズムのあり方に疑問を呈するとともに、日本が本来の姿を取り戻すためには、経済のグローバル化から距離を置く必要があると語り、過去10年余りの日本の針路に修正が必要との認識を示した。
 外国人記者からは、日本におけるナショナリズムや軍国主義の高まりについての質問が相次いだ。放火事件について右翼団体による言論弾圧との動きとの関連を問われた加藤氏は、事件は単独行為との見方を示しながらも、背景には「不健全なナショナリズム」の問題があると述べた。加藤氏は今日の日本では、国民一人一人が村社会的なしがらみからは解放されたが、その分帰属意識が希薄になっている事を指摘した上で、「家族関係、ローカルコミュニティー(地域社会)、勤め先のコミュニティーから自由になったが、一人一人が日本社会で浮遊している状態。糸の切れた風船が大都会のなかで漂っているようなもので、ナショナリズムのような風が吹けば、ある一定の方向に流されてしまう」と語った。
 そして、自らが幹事長時代に行った大店舗規正法を引き合いに出し、「田んぼの真ん中に大きなスーパーを作ったが、地方都市の商店街やコミュニティーを壊してしまった。(大店舗規制法の改正は)アメリカから構造障壁協議の一環として強引にやらされたが、あれば間違いだった」と述べた。さらに、小泉首相の構造改革についても、「市場経済重視でコミュニティーや家庭が壊されることへの配慮が少ない」と批判した。
 そうした問題を解消するための処方箋として加藤氏は、日本が市場原理に基づくグローバル化の流れから一定の距離を置くことが必要になるとの認識を示した。
 また、きたる自民党総裁選について「誰を支持するか」を問われると、「一番政策が近い」との理由で谷垣氏を支持すると明言した。

September 1, 2006 | トラックバック (1)

幸運か実力か 小泉政権が5年続いた本当の理由とは

marugeki_282_kakutani.jpgマル激トーク・オン・ディマンド 第282回(2006年08月26日) シリーズ『小泉政治の総決算』その4
第281回[8月18収録]
幸運か実力か 小泉政権が5年続いた理由(わけ)
ゲスト:角谷浩一氏(政治ジャーナリスト)

<サイト>
http://www.videonews.com/on-demand/281290/000853.php

<プレビュー>
http://www.videonews.com/asx/marugeki_backnumber_pre/marugeki282_pre.asx

 小泉政権の評価については、現在もそして未来においても、意見が分かれるだろうが、政権が5年という長期にわたった点と、過去の政権が取り組むことができなかった大きな課題に取り組んだという意味では、歴史に残る本格政権だったことだけは言を待たない。

 確かに小泉政権下では、安全保障面でテロ特措法や有事法制、日朝会談など長年の懸案事項が進展した他、内政面では郵政の民営化など、55年体制下での既得権益の破壊が大きく進んだ。

 中身の評価は横に置くにしても、派閥の領袖ではないために党内に権力基盤を持たず、自身も必ずしも主要閣僚を経験してきたわけでもない小泉首相の政権が、なぜ5年間も続き、しかもこれだけの大きな仕事をなしえたのかは検証に値する。

 確かに小泉首相にとっては時の運もあった。小泉政権実現の発端となった2001年の自民党の総裁選で受けた党員からの圧倒的な支持も、小渕、森と続いた前政権があまりにも不人気だったため、参議院選挙を控えて党員の多くは、実力の橋本龍太郎元首相よりも人気があり有権者受けする小泉氏を好んだ結果だった。また、政権発足直後にアメリカで9・11の同時テロが発生し、ブッシュ政権との同盟関係の強化が不可欠となっていたことも、小泉政権の外交政策を容易にした。また、最大野党の民主党が不祥事や党内抗争に明け暮れていたことも、小泉政権を更に利する結果となった。

 しかし、2002年の電撃的な訪朝を実現したあたりから、首相の「自民党をぶっ壊す」といったレトリックが国民に圧倒的な支持を受け続けるにつれて、小泉政権は自民党史上希有な本格政権へと進化していった。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、小泉政権の力の源泉は、55年体制下で自民党を支配してきた経世会(旧田中派)政治に対する強烈なルサンチマン(怨念)にあったと分析する。小泉政権の政策面での功績を見ると、全てと言っていいほど、経世会の既得権益の破壊を伴う案件ばかりが並んでいるからだ。経世会支配に対する長年の恨みが、「どのボタンを押せば壊れるかをいやというほど知っている」首相を誕生させた。また、経世会の「数の政治」に対抗するためには「人気の政治」が不可欠だったというのだ。

 郵政を民営化することで、経世会の強力な集票マシーンでこあった特定郵便局を弱体化させると同時に、公共事業や特殊法人に垂れ流されてきた郵貯や簡保を財源とする財政投融資もコントロールすることに成功した。また、首相官邸のもとに諮問委員会を設置して官邸自らが直接政策を打ち指すことで、族議員たちが跋扈する党内の部会の機能を弱めることもできた。これらはいずれも、小泉改革の柱であったと同時に、経世会政治をぶっ壊す結果につながっている。その意味では、小泉政権とは、自らが恨みを持つ経世会をぶっこわすことが、たまたま日本の構造問題の改革にもつながるという、また別の意味においても幸運な政権だったのかもしれない。

 しかし、運と経世会への怨念だけで、本当にあれだけの長期政権が築けるものなのだろうか。小泉政権がお化けした背景には、それ以外にも何かもっと大きな構造的な変化があったのではないか。角谷氏とともに小泉政権の5年間を振り返り、節目節目で何が起きていたかを再検証しながら、小泉政権の真の力の源泉が何だったかを再考してみた。

August 28, 2006 | トラックバック (0)

ビデオジャーナリズムの目次とまえがき

videojournalism.jpgビデオジャーナリズム カメラを持って世界に飛び出そう
著者:神保哲生
明石書店
2400円 (税別)
265ページ
2006年7月発行

目次
はじめに
第1章 目指せVJ(ビデオジャーナリスト)!
第2章 なぜ今ビデオジャーナリズムなのか
第3章 ビデオジャーナリズムとは何か
第4章 ビデオジャーナリズムの理論
第5章 ビデオジャーナリズムの文法(1)・初級
第6章 ビデオジャーナリズムの文法(2)・上級
第7章 ビデオジャーナリズムの制作工程
第8章 カメラの操作と必要な装備
第9章 ビデオジャーナリストの心構え
第10章 インターネット時代のビデオジャーナリズム
あとがき

前書き
はじめに
 一九九四年に私がある思いつきから最初にビデオジャーナリスト活動を始めた頃、自分がビデオジャーナリストであることを名乗ると「ビデオ機器の紹介記事を書く記者ですか」と真顔で聞かれたことがあった。医療ジャーナリストが医療に関する問題を取材するジャーナリスト、スポーツを取材する記者がスポーツジャーナリストだから、ビデオジャーナリストもビデオに関する記事を書くジャーナリストに違いないというわけだ。
 それから一〇年あまりが過ぎ、「ビデオジャーナリスト」も、その呼称だけはずいぶん広く認知されるようになった。少なくとも「ビデオジャーナリスト」を名乗ったときに、ビデオ屋さんの一種と間違えられることはなくなったようだ。

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August 19, 2006 | トラックバック (2)

40年間現場主義を貫いてきたジャーナリスト鎌田慧さんとのマル激

今週は若かれし頃の私にも宮台さんにも多大な影響を与えていたことが今回明らかになった、鎌田慧さんがゲストです。

鎌田さんは、数少ない「私が尊敬するジャーナリスト」の一人でもあります。

これまでそこそこ大物が登場しても、ある程度場馴れしていることもあって、私も宮台さんも緊張するようなことはありませんでしたが、今回ばかりは二人ともお互いが硬くなっているのがわかって、ちょっと変でした。幼児体験とまではいいませんが、若い頃に一度でも「すごい!」と思っちゃった人って、そのあと自分がいくつくなっても恐れ多いもんなんですね。

鎌田さんは今68歳ということですが、私も68歳になった時に今の鎌田さんくらいのペースで書き続けて(私の場合は撮り続けてもいたいので、更にハードルが高いかもしれませんが)いたいと、強く思いました。

話の内容も、私にとっては、実際に現場を歩いてきた鎌田さんならではの話が随所に登場し、とても参考になりました。

marugeki_281_kamata.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第281回[8月18収録]
シリーズ『小泉政治の総決算』その3
働かない日本 働けない日本

ゲスト 鎌田慧氏(ルポライター)

プレビュー

 小泉政治の5年間を検証する「小泉政治の総決算」シリーズ第3弾は、長年にわたり日本の労働者の現状をつぶさに取材してきたルポライターの鎌田慧氏をゲストに迎え、小泉改革の負の遺産と言われる格差社会の現状について、鎌田氏の豊富な現場情報をもとに議論を進めた。

 鉄鋼全盛の時代から労働問題を取材してきた鎌田氏は、今日の労働者の権利は1950年代並に悪化していると指摘し、その背景に労働者派遣法や労働基準法などの大幅な法改正があると言う。厚生労働省の統計によると、パートやアルバイト、派遣などの社員ではない不安定な形で雇われている人の数は04年に1500万人を超え、今や全雇用者の3分の1を占める。

 かつて戦後日本の炭鉱や土木現場で行われていた、期間工や日雇い労働者を集めてきて賃金をピンはねする行為は違法行為とされ、それがヤクザ発祥の源になったとまで言われる。しかし、86年に労働者派遣法が制定されて以来、労働者を派遣して上前をはねる行為が正当なビジネスとして急速に拡大した。一見、雇用者にも被雇用者にもメリットがあるかのように喧伝されている労働者派遣ビジネスだが、その実は最少のリスクで都合良く使い捨ての労働力を得たいと考える企業のためにあり、多くの労働者が厳しい雇用条件のもとで経済的に不安定な生活を強いられていると、鎌田氏は警鐘を鳴らす。

 鎌田氏はまた、企業がグローバル市場での熾烈な競争に晒される中、かつては企業が担っていた日本における相互扶助のシステムが崩壊しており、低賃金で不安定な仕事を転々とする中で将来の見通しがたたない労働者が、行き場を失っていると言う。特にそれが若い世代で増えていることも、問題をより深刻にしている。

 そして、彼らの閉塞感や絶望感に巧みに訴えることで、本来は彼らを追いつめる政策を実行しておきながら、彼らからまんまと票や支持を取り付けることに成功していたのが小泉政権の本質だというのが、鎌田氏の見立てだ。

 それにしても日本はいつから働きたい人が働けない国になってしまったのか。格差社会の長期的な影響はどこに現れるのか。小泉政権の交代で、状況が改善される可能性はあるのか。鎌田氏と共に考えた。

August 19, 2006 | トラックバック (0)

ビデオジャーナリストの卵たちの番組が完成しました

VJ道場に所属するビデオジャーナリストの卵たちの番組が完成し、ネットで公開されました。
http://www.vjdojo.net/
3ヶ月前に生まれて初めてビデオカメラに触れた連中が、ゼロから私の説くビデオジャーナリズム論を実践して作った番組です。
多少はビデオジャーナリズム大化けの可能性の片鱗が垣間見える?見えない?vj表紙(小).jpg

August 16, 2006 | トラックバック (0)

今更ながら、靖国問題がそもそも巷間言われているような問題なのかどうかを再検証しました

マル激トーク・オン・ディマンド
第280回[8月11収録]
靖国を「問題」にしているのは誰なのか
ゲスト:ゲスト:三土修平氏(東京理科大教授)

プレビュー

marugeki_mituchi0801106.jpg 小泉首相のおかげで、靖国神社のあり方、ひいては戦没者の追悼のあり方をめぐる議論が、これまでになく活発になっている。

  ここまでの伝統的な靖国論争では、政教分離問題やA級戦犯の合祀の問題などを発火点に、最終的には先の戦争をどう捉えるかに帰結することが多い。先の戦争を不当な侵略戦争だったと捉える人は、首相の靖国参拝を戦前回帰への兆候とみて警戒し、 その戦争には問題はあったとしても一定の大義もあったはずだと考える人は、靖国を大切にしなければならないと考える。だいたいそんな図式だ。

 しかし、靖国問題を独自の視点から検証した『靖国問題の原点』の著者で、自身の祖父が靖国神社が一宗教法人として生き残る道を選択した時の内務大臣だったという因縁も持つ三土修平東京理科大教授は、その論理立てが的はずれであることは、GHQの占領のもとで靖国神社がなぜ今日のような法的立場に置かれるに至ったかを歴史的に検証すれば自ずとはっきりすると主張する。

 三土氏によると、1945年末から46年初頭にかけて行われた神道指令と宗教法人令改正の際、GHQは靖国神社に宗教性を捨てて無宗教の公的追悼機関として存続する道と、宗教法人として宗教性を維持する代わりに、あくまで一宗教法人としての地位を甘受し、公共性は放棄する道のいずれかを選ぶように迫った。これは靖国神社に限ったことではなく、他のあらゆる宗教組織が同様の選択を求められたものだが、その実は単にポツダム宣言にも含まれていた政教分離原則の実施を求めたに過ぎないものだったと三土氏は言う。謀略史観に登場しがちな「日本を弱体化させるためのGHQの策略」となどという高等な戦術ではなく、「GHQはむしろ靖国神社が戦没者を追悼する無宗教の公的機関になることを望んでいたが、同時に宗教というものの性格を尊重する立場から靖国自身の意思を優先させた結果だった」(三土氏)というのだ。

 靖国をどうすべきかについては日本側の意見も割れたが、最終的には一宗教法人として存続させ、政府とのつながりや公的な立場は放棄する道を選んだ。GHQとしては、「あとは政教分離の原則さえ遵守させておけば戦前の国家神道へ回帰する心配は排除できたものと安直に考えていた」(三土氏)という。しかし、その後も靖国で戦没者の合祀などが続き、靖国がとても「民間の一宗教法人」とは呼べないような役割を演じていることをGHQ側が知った時は、既に時代状況が変化しており、「今更靖国を潰せだのと言えるような状況ではなくなっていた」(三土氏)。

 つまり、現在の靖国神社をめぐる対立と矛盾の原点は、GHQの占領下でGHQが靖国問題は解決できたと早合点したことにあり、担当者たちは早晩それが過ちであることに気づいたものの、もはや手遅れだったというのが真相だと、三土氏は言うのだ。

 しかし、三土氏はまた日本側の選択も、決して戦略的なものではなかったと指摘する。靖国を一宗教法人として存続させる道を選びながら、信教の自由の原則の傘の下に隠れて、実質的には戦前と同様の公共的な役割も演じ続けることを目論んでいるかのような説もあるが、実際は靖国自身も生き残りに精一杯で、面従腹背などという高等戦術を採る余裕はなかった可能性が大きいと言うのだ。A級戦犯の合祀も、遊就館に見られる戦前回帰的な歴史観も、民間の一宗教法人に過ぎないという立場であれば、それほど重大な問題ではないはずだ。

 もし仮に三土氏が指摘するように、GHQも靖国神社自身も、ともにこの問題に対する当事者性を持ち合わせていないとするとすると、靖国問題とは一体何なのだろうか。誰が靖国を「問題」にしてしまっているのだろうか。その答えは、日本人一人一人の「公」と「私」の区別の曖昧さが、一宗教法人という「私」であるはずの靖国神社に、一定の公共性を持たせてしまっているというのが、三土氏の見立てだ。靖国側も多少そうした状況に悪のりしているきらいはあるが、むしろ我々日本人が、靖国神社に宗教法人でありながら公共性も持ち合わせた「両棲動物的」(三土氏)な役割を押しつけているという面があることは否めないのかもしれない。

 仮にそのような形で靖国問題をわれわれ自身の問題と位置づけた時、われわれは首相の靖国参拝をどう考えればいいのか。靖国問題に解決策はあるのか。三土氏とともに、靖国問題の本質とは何かを考えた。

August 13, 2006 | トラックバック (1)

小泉政治は必然だったのかそれとも偶然の産物だったのか

御厨教授と話していて、小泉政治というものが、かなり複数の偶然が幾重にも重ならないと起こりえなかったかなり希有な現象だったことを強く感じました。しかしまたそれと同時に、そのような偶然が今ここで重なったことについては、ある種の必然があったとしか思えないような気もします。引き続き小泉政治の検証を多角的に試みて行きたいと考えています。

マル激トーク・オン・ディマンド
第279回[8月4日収録]
シリーズ『小泉政治の総決算』その2
小泉政治とは何だったのか
ゲスト:御厨貴氏(東京大学教授)

プレビュー

marugeki_mikuriya080406.jpg 小泉政治の意味を検証するシリーズ企画の第2弾は、東大の御厨貴教授を招いて「そもそも小泉政治とは何だったのか」を徹底的に議論した。

 御厨氏によると小泉政治とは、「説得しない、調整しない、妥協しない」の「3つのない」から成り立っているという。派閥の領袖でないことに加えて、主要閣僚も党三役も経験していない小泉氏は、今までの基準から考えると、総理としての経験が不足している。そのため、もしその小泉氏が周囲の声に耳を傾けていれば、よってたかってもみくちゃにされ、ほとんど何の行動も起こすことができなかったにちがいないと御厨氏は言うのだ。

 しかし小泉氏は、人の話を聞かずに独断専行路線を走った上に、これもまた従来の政権とは正反対に、最大派閥の田中派の意向を無視し、むしろそれと徹底的に対決することで、その推進力を得ることに成功した。御厨氏はこれを、場当たり的な行動を厭わない性格と、それがうまくいった時に即座にそれを取り入れる独特の嗅覚に起因するものと分析する。その結果、従来の自民党の政策決定過程を無視し、手続き面において透明性を確保したことが、世論の支持を集めた大きな要因のひとつとなった。

 そして、何といっても小泉政治の最大の特徴は、「小泉劇場」と呼ばれる常に一般受けを意識しなら、世論の後ろ盾で物事を消化していく手法だった。御厨氏はこれを功罪相半ばすると見る。今まで政治に関心のなかった世代や層を政治に引き込んだことの意味は大きいが、あまりに政治が大衆迎合型になったことの弊害も無視できないからだ。

 また、この手法に慣れてしまった国民は、仮に安倍政権ができた時に、その政治手法には飽き足らない思いを抱く可能性が高い。世論は、敵をみつけてそれと対決する小泉劇場を支持したが、安倍政権ではそもそもその敵がいなくなっていると、御厨氏は言うのだ。

 小泉政権の前と後で何が変わったのか、自民党は本質的に変質したのか、劇場型政治の功罪とは何か。安倍政権で何がどう変わるのか。御厨氏とともに小泉政治の功罪を考えた。

August 13, 2006 | トラックバック (0)

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