辺見庸さん緊急講演のご案内

アジア記者クラブの森広さんからご案内をいただきました。
広く転載して欲しい旨でしたので情報をアップします。

辺見庸 緊急講演
個体と状況について ~改憲と安倍政権~

言葉が人に感銘を与えないばかりではなく、軽んじられるようになってどれくらい経つのだろうか。政治家の発言は言うに及ばず、学校教育の現場では反動的な教育家が動員され、立法に際してはできるだけ不愉快な、感激を与えない字句が選択されるようになって久しい。また為政者によって民衆を主権的地位から遠ざけようとする日々の積み重ねの結果、民主的社会の成熟は妨げられ、不公正に対して声をあげない民衆が育てられてきた。戦後の保守政治をボス政治と言い換えるのならば、全てをボスたちに委ねてきた。その結果、有権者は長く自由意志を欠いてきたのではないだろうか。

「もし個性なるものが、他者がかかわることによってしか救われないほどコチコチのものであるなら、そんなものはくたばるがいい」(『ベルトルト・ブレヒトの仕事』から)。

反人間的時代の閉塞感や無力感が漂い、個の自由空間が小さく狭まる中で、辺見庸さんは今年、『自分自身への審問』を上梓されました。自分自身への審問を通して、言葉によって「個」を取り戻し、「民衆」が「主権者」たることを呼び戻すには、「民衆」が憲法を護らねばならないのではないでしょうか。「病んだ身体を世界にこすりつけるようにしてものを感じ、見る」作家・辺見庸さんの言葉に耳を傾け、病身を押して登壇される辺見庸さんとともに考えたと思います。
(文責=アジア記者クラブ事務局長・森広泰平)

12月7日木曜日18:00~21:00
明治大学アカデミーコモン・ホール
東京都千代田区神田駿河台1-1

定員1100名 当日1500円 前売1200円
前売り券は、1200円を下記郵便口座にご入金下さいください。当日は郵便局払込取扱票の払込金受領証をご持参ください。入場券と引換えます。郵便口座:00180-4-709267加入者名:アジア記者クラブ

共催:明治大学軍縮平和研究所、週刊金曜日、日刊ベリタ、アジア記者クラブ
後援:毎日新聞社出版局

ご連絡、お問い合わせは日刊ベリタ事務局まで。
info@berita.jp
www.nikkanberita.com
電話03-5802-2430
FAX03-5802-2412

PDF版・講演案内
http://www.nikkanberita.com/henmi.pdf

December 1, 2006 | トラックバック (0)

ベンジャミン・フルフォード氏が9・11の真相を疑う理由とは

marugeki_294_fulford.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第294回[11月17日収録]
私が9・11の真相を疑う理由

ゲスト:ベンジャミン・フルフォード氏(ジャーナリスト)

<プレビュー>

 イラク情勢が泥沼化し米中間選挙で野党民主党が12年ぶりに上下両院を制する中、アメリカがイラクに介入するきっかけとなった9・11同時多発テロをめぐる動きが騒がしくなっている。アメリカでは9・11の真相を問う映画が相次いで公開され、科学者やジャーナリストによる究明委員会が立ち上がるなど、今や「9.11陰謀説」が、単なるトンデモ話として切って捨てることのできないような広がりを見せている。

 1年にわたる取材の結果を「暴かれた9.11疑惑の真相」で著した、元「フォーブス」誌アジア・太平洋支局長でジャーナリストのベンジャミン・フルフォード氏は、イスラム原理主義者のテロリストたちが民間旅客機を乗っ取って9・11を実行したとする説には、あまりにも多くの疑問点や矛盾点があり、米政府はその疑問にほとんどまったくと言っていいほど答えていないと主張する。

 フルフォード氏の主張はこうだ。

 例えば、突っ込んだ飛行機の火災によって鉄骨が溶解し倒壊したとされているワールド・トレード・センター(WTC)については、ジェット燃料の炎では鉄の融点まで温度は上がらないという。ネジが溶解してフロアーのみが落下していくパンケーキ現象だったのであれば、鉄骨だけは残っていなければおかしい。しかし、WTCの後には粉々になった瓦礫しか残っていなかった。

 フルフォード氏は倒壊の映像を見ながら他にも不自然な部分を指摘し、これは爆発など何か別の力が加わって崩壊させられたとしか説明がつかないと主張する。

 また、WTCの瓦礫の中からは、突っ込んだとされるアメリカン航空11便のパーツもユナイテッド航空175便のパーツも何一つ発見されていない。にもかかわらず、米政府はその瓦礫を早晩廃棄処分にしてしまっている。しかも、飛行機の部品は全て火災で溶解したが、実行犯特定の決め手となったテロリストたちのパスポートだけは、瓦礫の中から判別可能な形で発見されているのだ。

 ペンタゴンに突っ込んだとされるアメリカン航空77便については、大型のボーイング757が突っ込んだにしては明らかに建物の損傷が小さ過ぎる上、実際にボーイング757が突っ込んだ瞬間を捉えた映像や写真が一つも公開されていない。ペンタゴン周辺には多数の防犯カメラがあり、当然そのカメラには飛行機突入の瞬間が写っていると思われるが、その映像は全て米政府が応酬したまま公開していないため、ボーイング機が突っ込んだことを裏付ける証拠が何一つ無い状態が続いているというのだ。

 しかも、ペンタゴンに突っ込んだアメリカン航空のパイロットは、実は前年まで米空軍のパイロットを務めていて、国防総省がテロの前年に航空機がペンタゴンに突っ込むテロのシミレーションを行ったときのパイロット役を務めていた人物であることを、フルフォード氏は明らかにする。

 他にも疑問点をあげれば枚挙に暇がない。

 とは言え、事が事だけに、果たしてこうした疑問がどの程度的を射たもなのかはわからない。しかし明らかに不自然なことがある。こうした疑問点に対して、米政府は監視カメラの映像を公開したり、瓦礫の中から見つかった証拠を提示するなどして、いくらでも反論する手段があるにもかかわらず、今のところ一切反論は行っていないということだ。

 今週の丸激は前半で、この問題を取材してきたフルフォード氏に、氏の考える9・11にまつわる疑問点や矛盾点を聞いた。

 また、後半は、共同通信の特別編集委員の春名幹男氏と、双日総合研究所副所長の吉崎達彦氏の2人のアメリカ・ウオッチャーのインタビューをもとに、先週行われた米中間選挙の総括と今後の日米関係への影響を考えた。

November 19, 2006 | トラックバック (0)

11月22日に宮台さんとトークイベントやります

11月22日に尾崎行雄記念財団主催のトークイベントを宮台さんとやります。

2006年度 第3回咢堂記念講演会
『天皇と日本のナショナリズム』
講師 宮台真司(首都大学東京准教授)・神保哲生(ビデオジャーナリスト)
日時 2006年11月22日(水)午後6時~8時
場所 憲政記念館 会議室
(千代田区永田町1-1-1:有楽町線永田町駅、丸ノ内線国会議事堂前駅・徒歩5分)
会費 (一般)1000円   (会員)無 料
お申し込み 参加のお申し込みは、info@ozakiyukio.or.jpで受け付けております。お名前をご記入下さい。
電話かFAXでも受け付けております。
TEL:03-3581-1778 / FAX:03-3581-1856

November 15, 2006 | トラックバック (0)

InterBEE2006のパネルディスカッションが明日でした

TBSの金平さんとは去年に続いての同席です。
去年よりも更に掘り下げた議論ができるといいのですが。

InterBEE2006
放送人の会」シンポジウム
日 時: 11月16日(木) 午後3時 ~ 5時半
場 所: 幕張メッセ国際会議場2F
テーマ: 『放送とインターネット ~ ジャーナリズムの未来を担うものは誰か・Part2』
ネット旋風捲き起こる折柄、昨秋来のアクチュアルなテーマについて更に一歩も二歩も踏み込む、真剣な検証と白熱の議論を期します。
パネリスト:
神保哲生氏(VIDEONEWS代表)二年連続登壇。
吉永春子氏(現代センター)放送人の会会員。
金平茂紀氏(TBS取締役報道局長・会幹事)
司 会: 今野勉氏(テレビマンユニオン・会代表幹事)

November 15, 2006 | トラックバック (0)

いじめを無くすためにまず私たちがすべきこと

marugeki_293_naitou.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第293回[11月10日収録]
いじめを無くすためにまず私たちがすべきこと
ゲスト:内藤朝雄氏(社会学者・明治大学助教授)

<プレビュー>

 再びいじめが社会問題としてクローズアップされている。前回と同様、今回も小・中学生のいじめ自殺がきっかけだった。今回は大臣宛に自殺予告の手紙が届くなど、いじめ問題が実はほとんど改善されていない実態を露呈している。

 「いじめの社会理論」の著者で、学校におけるいじめ問題に詳しい社会学者の内藤氏は、学校が「聖域」として扱われ、一般の市民社会から隔絶されてきたことが、日本でいじめが無くならない最大の要因だという。

 社会から切り離された空間のなかでは、一般社会では認められない暴力や人格を傷つける行為が行われても、隠蔽や感情論に基づく対応がまかり通ってしまうからだ。

 内藤氏はまた、日本では学校が単に勉強を教える場としての役割だけではなく、情操教育まで担うことを期待されてしているため、授業の他、スポーツや課外活動までが、全て学校という場で行われる点がいじめ発生のメカニズムに寄与していると指摘する。子供にしてみれば、朝から晩までを過ごす学校に全人格を握られる形となっているため、不快に感じる相手を排除したり傷つける行動も招きやすくなるし、いじめられる側も、他に逃げ場が無くなる。

 海外でも、学校に共同体全体主義的な役割を担わせている米、英、スウェーデンなどではいじめが多く、勉強に特化した予備校型のドイツやフランスではいじめが明らかに少ないというデータもある。内藤氏は現在の日本の教育制度を、米英型の中でも「突出した共同体全体主義型」と位置づける。

 こうした現状をふまえて内藤氏は、いじめを無くすためには、第二性徴後自立の道を歩もうとする子供を、むしろ押さえつけようとしている現在の学校の制度、とりわけ中学校の制度を、より選択と自己責任に基づく制度にあらためていく必要があると主張する。

 また、現在のいじめ問題がより緊急の課題となっているとの立場から、短期的には、暴力的ないじめに対しては警察や裁判所の介入によっていかなる理由があろうとも暴力は許されないという市民社会では当たり前の基準を学校でも徹底すること、40人ほどの他人を無理矢理同じ部屋に閉じこめて1日中一緒に過ごさせる現在の学級制度を廃止し、クラスメート以外にも「タコ足配線的」(1本の足が取れても他にたくさんの足がある=一部のクラスメートから無視されたりのけ者にされても、他にいくらでも友達が作れる状態)に色々なタイプの人とつきあえるような柔軟な制度に変えることが必要と主張する。

 なぜ人はいじめるのか。なぜいじめは起きるのか。いじめ発生のメカニズムを解くことで、いじめを無くすために短期的、長期的に何をすべきかを内藤氏とともに考えた。

November 12, 2006 | トラックバック (4)

マル激ライブ・イン・京都

marugeki_292_2shot.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第292回[10月28日収録]
「ちょっとみんな元気ないんじゃない」
京都・立命館大学公開収録

<プレビュー>

 北大、中央大に続いて3回目となる大学での公開収録の舞台は、神保氏が教授を務める京都の立命館大学。
 大学生との対話方式を公言するライブトークでは、開口一番神保氏から、「とにかく今の学生は元気がない。やれと言われればやるが、言わないとなかなかやろうとしない。インターネットの普及で指先でキーを叩くだけで簡単に情報を手に入れられるようになってしまったために、自分で動いてモノを調べようとしない。怒られても食い下がってこない。要はみんな頭でっかちだ」との挑発で始まった。果たして学生対宮台・神保両氏の熾烈なバトルに発展するのか。それとも、宮台・神保両氏の暴走で終わるのか。はたまた、京都で小学校時代を過ごした宮台氏の愛郷主義が炸裂するのか。
 立命館を中心とする京都周辺の学生たちとの対話から、当世の学生たちの関心事や悩み、不安をマル激が斬る。

November 8, 2006 | トラックバック (1)

日本核武装論を嗤う

marugeki_291_yosida.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第291回[10月20日収録]
日本核武装論を嗤う
ゲスト:吉田康彦氏(元IAEA広報部長)

<プレビュー>

 北朝鮮の核実験を受けて、日本の核武装の是非が盛んに取り沙汰されている。
 しかしそうした一連の議論は技術的に日本が核を保有する能力を持っているか否かや、核武装が憲法上認められるか否かといった観念論の域を出ていないかに見える。
 その一方で、日本では殆ど報道されないが、日本はIAEA査察官が8人も常駐するれっきとした核査察対象国だ。北朝鮮の核実験直後の米国主要各紙の報道にも見られるように、世界の目は日本の核武装の可能性について、日本人の想像を遙かに超えるほど敏感になっている。
 核拡散を防ぐための査察を行う国連機関IAEA(国際原子力機関)で日本支部の広報部長を務めた経験を持つ吉田氏は、そもそもIAEAという組織が、戦後日本とドイツの核武装を防ぐことを最大の目的に結成された組織であることを、日本人の多くが正確に認識できていないのではないかとの疑問を呈する。
 吉田氏は、日本の核保有が技術的には可能だとしても、万が一日本がそのような方向に一歩でも踏み出せば、国際政治上大変な代償を伴うと言う。日本が核兵器を保有するためにはNPT(核拡散防止条約)を脱退する必要があるが、その際に起きるだろう国連安保理による制裁や各国からのエネルギー供給の停止に、資源の無い日本が耐えられるはずがないというのだ。
 果たして核武装論者はこうしたリスクを理解した上で核保有を主張しているのか、と吉田氏は訝る。
 また、吉田氏は、北朝鮮の関心は「一にも二にもアメリカ」であり、今回の核実験は米朝二国間協議を実現させ、将来的にはアメリカとの国交正常化をするための手段に過ぎないとの見方を示したうえで、視聴率目的で情緒的な北朝鮮脅威論を煽るメディア報道に苦言を呈する。
 そもそも核兵器とは何なのか。日本の核武装は国際的にはどのような意味を持つのか。日本は今後北の核の脅威にどう対応していくべきなのか。吉田氏と共に考えた。

October 29, 2006 | トラックバック (1)

今度の日曜はマル激・イン・京都です

京都の立命館大学でマル激の公開収録が、いよいよ今度の日曜日とになりました。
休日ですが、近隣の方はぜひ奮ってご参加ください。

入場は無料です。大学の学生以外でも、どなたでも入場は可能です。

marugek4-large.jpgまた、当日会場では11月25日に発売が始まったマル激本の第4弾『天皇と日本のナショナリズム―神保・宮台マル激トーク・オン・デマンド4 』(春秋社)も本屋さんに先立って販売されます。

その他、バックナンバーのCDも割引販売の予定です。(どうやってそれだけの荷物を東京から持っていくつもりなのか、私は知りません)

2006年10月29日(日) 14時~
立命館大学以学館第1ホール
『マル激トーク・オン・ディマンド』ライブ

詳細はこちらをご覧下さい

このイベントの模様はビデオニュース・ドットコムでも『マル激トーク・オン・ディマンド』として放送される予定です。

October 26, 2006 | トラックバック (0)

北朝鮮や金正日をあまり甘く見ない方がいいという話でした

marugeki_290_takesada.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第290回[10月18日収録]
金正日は核で何をしようとしているのか
ゲスト:武貞秀士氏(防衛研究所主任研究官)

<プレビュー>

 10月9日に北朝鮮が行った核実験について、追い詰められて自暴自棄になった金正日の最後のカードとの報道がされている。しかし、長年朝鮮半島を見てきた防衛研究所の武貞秀士氏は、今回の実験には、制裁を受けるコストを払ってでも核兵器を持つことで、朝鮮半島の統一を有利に進めるという金正日の長期的な国家戦略に基づく意図があるとの見方を示す。
 また、核実験を機に日本の核武装論についての発言が閣僚から相次いでいることについて武貞氏は、「少し飛躍しすぎ」と評したうえで、「日本が通常戦力で攻撃をすれば、北朝鮮は無事ではないと言える能力をつけることは可能だし、その議論の方が合理的」と言う。
 さらに、今後日本が行うべきこととして、常に定点観測できる数の情報衛星など導入によって、情報収集能力を高めることも必要だと説く。「7月のテポドンミサイル発射や今回の核実験に関する情報を日本政府は受け取っていたとの報道があるが、むしろ日本が調査した結果を中国・韓国・アメリカに状況説明をできるだけの情報収集能力が必要だ。ソフトウェアの分析や地上の施設などの情報収集が大事であって、それを飛び越えての核武装には、防衛戦略としての各論が全くない」と述べた。
 北朝鮮がこのタイミングで核実験を行った意図はどこにあるのか。日米韓の対北朝鮮政策は失敗だったのか、日本の防衛戦略はどうあるべきか。武貞氏とともに考えた。

October 26, 2006 | トラックバック (0)

今週の丸激は上祐史浩氏を招いて、オウム問題にマル激的な考察を加えてみました

marugeki_289_joyu.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第289回[10月13日収録]
麻原の神格化は大きな過ちだった
ゲスト 上祐史浩氏(アーレフ代表)

<プレビュー>

 先月15日オウム真理教の教祖麻原彰晃こと松本智津夫被告の死刑が確定し、96年の初公判から10年半近く続いた裁判に終止符が打たれた。一方、名前をアーレフに改称した教団は、教祖への帰依から脱却し新しい教義に基づく教団を目指すM派(上祐派)、松本被告の三女を担ぐA派(反上祐派)、まだ態度を決めていない中間派の3派に分裂状態にある。

 オウム真理教時代に教団の表の顔としてメディアに頻繁に登場し、逮捕・出所後はアーレフに改称した教団を代表として率いてきた上祐氏は、現在の分裂騒動はそのまま麻原教祖への帰依の度合いを反映していると説明する。神格化された教祖への帰依から脱し、新たな方向を探る人々が上祐氏のもとに集まる一方で、その行為を教祖への裏切りと見て、教祖とその後継者とされる松本氏の三女への帰依を続ける人々が、A派(三女の宗教名のアーチャリーの頭文字をとったもの)を形成しているというのだ。

 10年以上もの間麻原教祖に心酔し、その権威を絶対視していた上祐氏自身は、偽証罪等の罪で服役中に、教祖の預言の矛盾や不規則発言に対する疑念が頭をもたげ始め、出所後にオウムの起こした事件を自分の中で総括するうちに、松本被告の神格化が教団の暴走を許した大きな原因であったとの結論に達したと言う。「元代表(麻原教祖)は霊的な能力は強かったが、それがイコール神様となることの矛盾に、その時は気づかなかった。霊的なるものへの免疫ができていなかった」上祐氏はそう振り返る。

 また、この期に及んで宗教教団を維持している理由について上祐氏は、「世間から絶対悪とされた自分たちでも、変われることを示す」ことが事件の遺族や被害者への償いの必要不可欠な部分になるとの考えを示した。と同時に、今後、松本被告の死刑が執行された際に心の拠り所を失った信者の受け皿も必要になると説く上祐氏は、来年早々にも新しい教団の設立を計画中であることを明かにした。

 それにしても、なぜたった一人の、傍目には子供じみた発想しか持ち得なていようにさえ見える教祖が、地下鉄サリン事件など日本犯罪史の中でも前代未聞の凶悪なテロ事件を引き起こすまでに、一宗教教団を先鋭化することが可能だったのか。あれだけの大事件を起こした教団が、教祖を乗り越えて、その体質を根本から変えることなど本当に可能なのか。分裂騒動に揺れる中で、賠償問題は今後どうなるのか。上祐氏に一つ一つ問いただす中で、オウム事件を今改めて再考した。

October 14, 2006 | トラックバック (0)

脳死や臓器移植についてあらためて根本的なところから議論してみました

 宇和島のちょっとアブノーマルな臓器売買事件を受けて、臓器移植や脳死問題が、今現在どのようになっているかを少し調べてみたところ、臓器移植法の改正案が本国会に提出され、それが可決する可能性が高いことがわかりました。そして、更にもう少し調べてみると、1997年に臓器移植法ができた当時と比べて、脳死や臓器移植の問題点もかなり明らかになってきていることもわかりました。

 しかし、にもかかわらず、世の中は臓器移植の恩恵を礼賛する空気に満ちているような、そんな気がしたので、ここであえて脳死移植に反対の論陣を張っている東京海洋大の小松美彦教授に来ていただいて、なぜ小松氏が脳死移植にも脳死を人の死として認めることにも断固反対しているのか、その理由を徹底的に聞いてみることにしました。
 小松さんの意見に賛成の人にとっても反対の人にとっても、考えるところの多い議論になったのではないかと思います。
 私自身はまだ全部の臓器のにマルのついた(つまり、脳死の暁には全部持っていくことを認めている)ドナーカードは持っていますが、私がこのカードにマルを付けた1999年の時点では、脳死についても臓器移植についても、ほとんど何も知らずに丸を付けていたことだけは認めざるを得ませんでした。
 小松さんの指摘通り、これまでとかくレシピエント側からばかりこの問題を見てきたので、自分の中の臓器移植問題に対する認識の中に、ドナー側の視点が欠けていたことは否めないと感じています。しかし、たとえドナー側の視点が入ってきても、やはり臓器移植には一定の合理性や公共性というものが残っているのではないかと思いたいのですが、収録から一夜明けた土曜の時点では、まだ100%の自信を持って、そう言い切れないのが実情です。
 今回の議論では最後は自己決定権論争にまで話が及んでしまったので、ちょっと私自身まだ消化しきれていない部分もあるのですが、ちょっと無責任な言い方を許していただければ、今回の放送を皆さんにとってもこの問題をあらためて考えてみる一助としていただければ、それだけで私としては十二分に幸いです。現時点ではそこぐらいまでが、正直のところ精一杯のところです。
 ぜひ皆さんのご意見を聞かせてください。

marugeki_288_komatsu.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第288回 [2006年10月6日収録]
私が脳死移植に断固反対する理由

ゲスト:小松美彦氏(東京海洋大学教授)

<プレビュー>

 四国の宇和島で金銭のやりとりが介在する腎臓の生体移植が行われていたことが明らかになり、衝撃を呼んでいる。この事件そのものは、お金を貸していた人が、返済と逆融資の見返りに腎臓を提供したが、お金が支払われなかったために警察に訴え出たという、少々わけのわからない話。病院も、まさかそんな背景だとはは知らずに手術をしてしまったと言っているが、いずれにしてもこれは言わば非常にアブノーマルなケースだったために事件が明るみに出たが、借金の肩代わりに臓器提供を求めるなどの事例が水面下で横行している可能性を示唆する事件として注目される。
 しかし、この事件はもう一つより大きな問題提起をしている。それは、この事件を発端に、世論が臓器移植をより厳しく取り締まるべきであるという方向よりも、むしろ臓器移植をより容易にすべきではないかとの方向に傾く可能性が非常に高いということだ。
 この事件のメディア報道を見ると、臓器の売買はいけないことだが、結局は臓器移植の需要が高いにもかかわらず、供給、すなわち臓器を提供してもいいと考えるドナーの数が圧倒的に少ないため、このような事件が起きるんだという言説が目につく。現に、脳死を無条件で人の死と定義し、本人の承諾がなくても脳死者からの臓器の取り出しを可能にする改定臓器移植法の法案が今国会に上程されており、現時点ではそれが可決・成立する可能性が非常に高いとみられている。宇和島の事件も、法案成立を後押しする要因となる可能性が高い。この法案が通れば、日本でも欧米と同様に脳死が人の死となり、欧米並の数の臓器移植が行われるようになる可能性が高い。このこと、つまり国内での臓器移植がより容易になること自体が、一見いいことのように喧伝されているようでもある。
 しかし、科学史・生命倫理学の専門家で臓器移植推進の流れに異を唱える東京海洋大学の小松美彦教授は、こうした流れに対して強い危機感を抱いているという。小松氏によると、そもそも脳死を人の死とする考え方自体が、その後のさまざまな科学的知見によって崩れてきているにもかかわらず、世界はより脳死の定義を緩め、臓器移植を容易にする明らかに危うい方向に向かっていると言うのだ。
 確かに、脳死判定の結果、脳死と宣告されても、まだその患者の心臓も動いているし体温も維持されている。だからこそ臓器移植が可能なわけだが、その体から臓器を取り出そうとすると、患者の体からは汗が噴き出し血圧もあがるなど、痛みを感じる時とほぼ同じような症状が見られるという。そのため欧米では、脳死者から臓器を取り出す際にモルヒネなどの麻酔を打つことが常識となっている。何と、死体が暴れることがあるので、死体に麻酔を打っているというのだ。暴れる死体が本当に死体と言えるのか。小松氏はそう問いかける。
 現に脳死を宣告されながら、その後何年も生き続けているケースも少なからず出てきているし、脳死状態でも、家族の呼びかけには顔を紅潮させるなどの形で反応するケースもあると小松氏はいう。そもそも脳死というものが、単に人間が作った脳死判定基準のもとで反応が見られないという意味であったり、自らの意思表示をするなどのアウトプットはできなくなっていても、インプット、つまり声を聞いたり理解でき
ている可能性はあるというのが、脳死を人の死とはできないと主張する根拠の一つとなっている。
 また、小松氏は、移植をすればより長く生きられるという前提そのものにも疑問を呈する。臓器移植をしなければ助からないが、臓器移植をすれば命が助かり、その方がより長く生きられると考える根拠は、必ずしもデータで裏付けられているものではないと言うのだ。更に、臓器移植を受ければ、その後の人生は免疫抑制剤による免疫力の低下からくる感染症との熾烈な闘いになる。移植した臓器で生きられる年数も限られているケースがほとんどだ。にもかかわらず、なぜそうまでして脳死移植を推進しようとするのか。小松氏は疑問を呈する。
 しかし、そうした実質的な議論を全て横に置いたとしても、小松氏は、何をもって人の死とするかの基準を国や政府が決めることに、根本的な問題があると主張する。人の死生観という人間にとって最も根本的な価値観は、国によっても個人によってもさまざまであるべきで、単に臓器を有効に活用したいというだけの理由で国や権力にそれを決定する権限を与える法案には、何があっても断固反対していくと小松氏は言う。
 1997年に制定された日本の臓器移植法では、脳死を人の死と確定するところまでは合意が得られず、「臓器移植の場合に限り脳死を人に死とする」という少々意味不明な玉虫色の定義のまま見切り発車した形になっている。それから9年。その後、脳死については何が明らかになったのか。日本は欧米並に脳を人間の「核」と位置づけ、脳死を人の死と確定できるところまで、われわれは本当にこの問題と十分に向き合ってきたのか。臓器移植については、受け手側のメリットばかりが強調され、その
全体像が理解されていないというようなことはないのか。宇和島の事件を発端にあらためて浮き彫りになった疑問点を、脳死反対論者の急先鋒の小松氏にぶつけながら、今あらためて臓器移植と脳死問題を多面的に考えてみた。

October 7, 2006 | トラックバック (3)

今週は5金の無料放送でした

marugeki_287_yamaguchi.jpg
マル激トーク・オン・ディマンド
5金スペシャル(無料放送)

第287回[2006年09月29日収録]
安倍内閣、支持率70%の中身を問う

ゲスト:山口二郎氏(北海道大学教授)

無料放送中

 5回目の金曜日のある月恒例となった無料放送の5金スペシャル。
 今回は前半に山口二郎教授と安倍内閣の実像に迫った。
 発足直後のマスコミ各社の世論調査で70%前後の高い支持率を得た安倍政権だが、その人気の源とは何なのか。日本人は安倍内閣に何を期待しているか。その期待は現実のものとなる可能性がどの程度あるのかなどを考えた。
 また、山口教授は安倍内閣の布陣を見ると、自民党が右翼政党の様相を呈し始めていると主張するが、その根拠とは何か。アメリカのホワイトハウスを彷彿とさせる内閣補佐官の増員によって、官邸主導政治はますます強まるのか。その結果政治の世界にどのような変化が起きるのかなどを、山口氏とともに考えた。
 後半は恒例となった視聴者メールの一気公開。今回は食品添加物博士の安部司氏、光市母子殺人事件被告の代理人で死刑廃止運動を引っ張る安田好弘弁護士、独特な歴史論争を繰り広げた漫画家の江川達也氏、番組出演直後に痴漢容疑で逮捕された植草一秀氏の回の放送に対するコメントが多く寄せられた。また、宮台氏の独特の言い回しや過激な表現、難解な横文字言葉への注文なども相次いだ。

October 4, 2006 | トラックバック (0)

学生が運営するネット放送局『VJ道場』の番組キャスターを募集します!

私が教えている立命館大学で、私の3回生ゼミのゼミ生たちが中心となって運営しているインターネット放送局『VJDOJO.NET』で以下の募集をしています。

彼らの制作した番組をここで見ることでできます。

内容的にはまだまだですが、中には生まれて初めてビデオを触ってから3ヶ月も経っていない生徒もいますので、それを考えると将来が楽しみです。ビデオジャーナリズム論的に見ると、まだ取材力、技術、表現力のいずれをとっても課題は多いですが、いずれもビデオジャーナリズムの基本はある程度掴みかけている様子が見て取れるので、このまま経験を積んでさえいけば、大学在学中にでも地上波放送で流れている程度のものはすぐに作れるようになるでしょう。

彼らの中からこの先日本のジャーナリズムの担い手となる人間が何人出てくるか、皆さんもぜひ注目してください。

***********以下転載***********

インターネット放送局VJ道場の番組キャスターを募集します!
アナウンサー、キャスター志望のあなた!
本番の緊張感の中で実力を磨きませんか?

VJ道場とは、立命館大学産業社会学部教授・ビデオジャーナリストの神保哲生氏が主宰し、ビデオジャーナリストの育成を行う道場です。現在は、神保ゼミの3回生が主体となりインターネット放送局を運営しています。その中核となる報道番組「VJ道場ジャーナル」のキャスターを若干名募集します。

現在http://www.vjdojo.netにてデモ番組を公開中ですが、10月からは毎週収録・更新予定です。毎週月曜日の6限に学内のスタジオで、キャスターとゼミ生のスタッフで収録を行います。神保先生のアドバイスを受けながら、本格的なニュース番組を制作します。アナウンサー、キャスター志望の方には番組の進行役を務めていただきます。将来の目標への良い経験となる大きなチャンスではないかと思います。ただし、神保先生は結構厳しいです。

興味のある方は、下記問合せ先までぜひ一度ご連絡ください!

下記問い合わせ先までご連絡ください。VJ道場生一同、お待ちしております!

キャスター第1回選考 9/30(土)18:00~ 以学館32教室
キャスター第2回選考 10/2(月)19:30~ 以学館32教室
※簡単な原稿をカメラの前で読んでもらいます。

尚、VJDOJOではこの週末合宿を行っています。ジャーナリスト志望の方、ビデオジャーナリズムやVJDOJOに興味のある方の飛び入り参加・見学歓迎します。
9/30(土)14:00~ 
10/1(日)19:30~
立命館大学衣笠キャンパス
以学館32教室

こちらも、ご興味のある方は、下記までご連絡下さい。

ついでに、上記以外にも、毎週月曜日6限(18:00~)に以学館32でニュース制作を行うVJDOJO、毎週火曜日2限(11:00~12:50)に修学館318で毎週のニュースをとりあげてジャーナリズムの理念を学ぶ神保私塾も開催しています。こちらも自由参加です。奮ってご参加下さい。

<問い合わせ>
神保ゼミ 平川昌範 so043040@ss.ritsumei.ac.jp

September 29, 2006 | トラックバック (0)

カーチス教授の安倍政権分析

marugeki_286_curtis.jpg
マル激トーク・オン・ディマンド
第286回[2006年09月22日収録]
安倍政権「美しい国」への提言

ゲスト:ジェラルド・カーチス氏(コロンビア大学教授)

<プレビュー>

 安倍内閣が発足する。
 国民的人気は高いものの、年齢的にも政治経験の上でも未知数の安倍新総理に対しては、現在の内外の難局の舵取りをまかせる側としては、期待と不安が相半ばする。
 しかし、海外から長年日本の政治をウォッチしてきたコロンビア大学のジェラルド・カーチス教授は、安倍政権が小泉政権の真似をして安直なポピュリズム路線を走れば、新政権は短命に終わるだろうと予測する。そもそも小泉劇場は小泉純一郎という個人の資質に請うところが大きかった上、現在日本が置かれた現状は小泉政権が誕生した2001年とは経済的にも政治的にも大きく異なってきているからだ。
 その一方でカーチス教授は、一見タカ派色が強く右寄りと言われる安倍総理が、意外にも現実路線を選択し、靖国参拝を行わずに、中国との関係修復に向かう可能性が高いと見る。現在の日中関係や日米関係を考えると、それ以外の選択肢はあまりにも日本にとってリスクが大きすぎるというのがその理由だ。
 現実路線を軌道に乗せ、国民の支持を集めることができれば、安倍政権が本格政権となる可能性も十分にあるとカーチス教授は言う。
 「安倍首相がそのような路線を選んだ時、日本のメディアと有権者が、安倍政権を支持し続けるかどうかが、政権の命運を左右することになるだろう。」カーチス教授はこう述べ、これまで安倍人気を支えてきた強硬派路線の信望者たちが、逆に安倍政権が現実路線を選ぶことの足枷になる可能性を懸念する。
 安倍政権は、唯一の資産と言ってもいい人気を温存しながらも、現実路線を選択することが可能なのか。その場合の条件は何なのか。安倍氏の「美しい国」とはどんな理念であるべきなのか。カーチス教授とともに考えた。

September 25, 2006 | トラックバック (1)

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