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食品安全委は何を評価してきたのか(論座11月号寄稿原稿)

同じく論座11月号に寄稿した記事を再度アップします。

食品安全委は何を評価してきたのか
-米国産牛肉を入れるための茶番ではなかったか-
ジャーナリスト 神保哲生

 7月28日、郵政民営化法案に揺れる国会では、衆院農水委員会が開かれていた。解散総選挙まで取りざたされる緊迫した政治状況の中で、牛肉問題に関心を寄せる人は少なかったとみえ、傍聴席には記者の姿もまばらだった。どちらかというと閑散とした雰囲気の委員会室で、この日招かれていた一人の参考人の口から爆弾発言が飛び出したのは、間もなく散会になろうかという昼過ぎのことだった。
 参考人として出席していた食品安全委員会(以下食品安全委)プリオン専門調査会の品川森一委員は、それまで胸につかえていたものを吐き出すかのように喋り始めた。
 「私は去年12月に寺田(食品安全)委員長に辞表を出したのですが、委員長には今私に辞められると委員会が分解してしまうので、出席しなくていいから辞表は受け取れないと言われました。そのためそれ以来委員会には出席していないので、私に委員会のことを聞かれてもわかりません。」
 郵政一色に染まった国会にあって、この発言が注目を集めることはほとんどなかった。しかし、品川氏といえば、動物衛生研究所プリオン病研究センター長を務める日本におけるプリオン研究の第一人者の一人だ。その品川氏をして、この時期に食品安全委の委員を辞さねばならなかった理由とは一体何だったのか。
 実は食品安全委の委員の中で、辞意を表明していたのは品川氏だけではなかった。プリオン専門調査会の座長代理を務める金子清俊日本医科大学教授もまた今年3月の講演の中で、委員会のここまでの審議の内容が不本意であったことを理由に、辞意を仄めかしていた。
 日本におけるプリオン研究の中心的存在の2人が、米国産牛肉の輸入再開を見据えたこの重要な時期に相次いで匙を投げてしまうとは、食品安全委で今何が起きているのか。

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January 21, 2006 | コメント (1) | トラックバック (7)

このまま米国産牛肉の輸入を再開して本当にいいのか(論座5月号寄稿原稿)

状況が状況なので、論座5月号に寄稿した記事を再度アップします。

このまま米国産牛肉の輸入を再開して本当にいいのか
ジャーナリスト 神保哲生
 米国産牛肉の輸入再開がいよいよ秒読み状態に入った。
 二〇〇三年暮れにワシントン州でBSEが発生し、米国産牛肉の輸入がストップして以来、日米両国は輸入再開に向けた交渉を続けてきた。そして、去年の夏の段階で輸入再開に向けたシナリオはほぼ固まっていた。そのシナリオとは、日本がBSE検査の対象を現在の全頭から月齢二一ヶ月以上の牛に緩和する一方で、アメリカは月齢二〇ヶ月以下の牛の肉に限り検査無しで輸入を再開できるようにする、というものだ。
 しかし、このシナリオを実現する上でどうしても越えなければならない高いハードルが、双方にあった。
米国側のハードルは、広大な牧場で放牧され大半の牛が誕生データを持たない中、月齢二〇ヶ月以下の牛の月齢をいかに証明するかだった。一方、日本のハードルは、現在全ての牛を対象に実施している全頭検査の緩和をいかに日本国内向けに正当化するかだった。両国はそのハードルを乗り越える手はずを少しずつ整え、そして今、舞台はいよいよクライマックスに指しかかろうとしている。
 しかし、何だか出来レースのようなシナリオに乗っかったまま、米国産の牛肉の輸入が再開されて、本当に大丈夫なのだろうか。安全性は十分に担保されているのか。日米交渉の裏側で何が起きているかを探るために、約一年にわたり米国を取材した。

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January 21, 2006 | コメント (0) | トラックバック (5)

「消費者の選択」という逃げと欺瞞

共同通信ニュース:購入するかは消費者の判断 米国産牛肉輸入再開で農相(共同)
 中川昭一農相は29日、地元の北海道帯広市で記者会見し、米国産牛肉輸入解禁に対し不安の声が上がっていることに関し「(米国産牛肉を)食べたいという人もいれば不安に思う人もいる。安全性の評価とリスクについての責任は政府にあるが、後は消費者の判断だ」との認識を示した。2005/12/29 17:45


農水大臣、これはないでしょう。
生肉以外は原産地表示の義務がないじゃないですか。
しかもカレーのルーやラーメンのスープなどの加工品にいたっては、牛肉由来の成分が含まれているかどうかすらわからないものもあります。
「消費者の選択」がリベラリズムに依拠しているか単なるネオリベ的なご都合主義かの分かれ目は、自己責任で判断をするための材料となる情報が開示されているかどうかです。
加工品に表示義務を課していない理由は、メーカー側の負担が重すぎるからに過ぎません。
プリオン専門調査会の吉川座長までが「最後は消費者の選択」と政治的な圧力に負けて危ない牛肉の輸入にお墨付きを与えたことについての責任から逃げていますが、これでは逃げにもなってないと思いますよ。(神保)

December 31, 2005 | コメント (2) | トラックバック (2)

ビデオニュースがオーバーチュアを提訴

会社経営(という名の金策)だのその他もろもろの雑事に追い回され、本業であるはずの記者活動に十分な時間が割けない時期が何年か続いた後、2年ほど前にこれではいけないと一念発起し、自分の時間はできる限り取材・執筆・制作活動に回そうと決めていたので、あまりいろいろ面倒なことはしたくなかったのですが、12月26日、日本ビデオニュース(株)としてやむなくオーバーチュア株式会社を提訴することになってしまいました。

ことのあらましは、だいたい以下の通りです。

2005年 3月30日にヤフーの100%子会社オーバーチュアとヤフーなどの検索サイトでの検索エンジン連動型広告掲載の契約を結ぶ。

検索エンジン連動型広告とは、インターネットのユーザーが検索サイトでキーワード検索を行った際に、そのキーワードを登録していた広告が検索サイトのトップに表示されるというサービス。ヤフーとグーグルの独占市場ですが、1)そもそもそのキーワードで検索をしている人なので、広告としてのターゲットヒット率(標的とする対象に見てもらえる率)が非常に高い、2)その広告がクリックされ実際に自分たちのホームページにアクセスがあって初めて料金が広告発生するので、ムダが少ない。などの特徴があり、必ずしも大々的なCMキャンペーンを打つ財力のない企業にとっては、とても有効かつ重要な顧客獲得手段となっています。また、成長市場ネット広告の中でももっとも急激な伸びを見せているサービスでもあります。


2005年 5月頃 当初は順調に広告が掲載され、それに準じてアクセスも増えていたが、この頃からなぜか特定のキーワードがはじかれる(広告掲載が拒否される)ようになった。はじかれたキーワードを見てみると、「憲法改正」「靖国参拝」「中国反日デモ」のような政治的にデリケートなキーワードが多いことがわかった。

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December 28, 2005 | コメント (4) | トラックバック (20)

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