シリーズ・民主党政権の課題6
記者クラブ問題の本質

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marugeki_451_mori.jpgマル激トーク・オン・ディマンド
第451回(2009年11月28日)
シリーズ・民主党政権の課題6・記者クラブ問題の本質

ゲスト:森暢平氏(成城大学文芸学部准教授)

 マル激ではこれまで折に触れてきた記者クラブ問題が、民主党政権の下で新たな次元に入ったようだ。

 大手新聞と通信社、テレビ局だけが記者会見に出席する特権を独占し、雑誌、外国報道機関、ネットメディア、フリーランスは徹底的に排除する、日本のマスメディアの閉鎖性や排他性、前時代性の象徴とも言うべき記者クラブの弊害は、今更指摘するまでもないだろう。

 記者会見への特権的・独占的アクセスのみならず、省庁施設内の記者室の無料使用に始まり、光熱費・電話代、アルバイト事務員に至るまで、ありとあらゆる便宜供与を受けることで発生するメディアと政治の癒着。特権を享受する者同士が結ぶ「村の掟」的取材協定や談合取材。発表ものをを報じていれば事足りてしまうことからくる、調査報道能力の低下。そして、メディア産業への新規参入企業の排除等々。

 いずれも報道の自由を標榜する日本ではあってはならないものばかりだし、市民社会にとっては百害あって一理もないものばかりでもある。

 しかし、今や世界の笑いものと化しているこの制度を、日本はなぜ未だに解決できないのだろうか。ましてや、記者会見の開放を宣言してきた政党が政権の座についているというのに、である。

 今回のマル激は、元毎日新聞記者で、学究生活に入ってから記者クラブの歴史を研究してきた成城大学文芸学部の森暢平准教授を招き、明治期の帝国議会の出入り記者会や国木田独歩らによる外務省の記者倶楽部に端を発する記者クラブの歴史や背景などを詳しく検証した上で、その構造的な問題を明らかにしてみた。

 森准教授は任意団体であり親睦団体である記者クラブは本来はプライベートなものであるにもかかわらず、取材や記者会見というパブリックな機能まで持つようになったことが、現在の記者クラブ問題の解決を難しくしていると指摘する。要するに、記者クラブは自らが親睦団体であることを理由に、本来ならばオープンであるべき会見の場から非加盟のメディアを閉め出す一方で、プライベートな団体の懇談に過ぎないはずの閣僚や官僚との会合を「記者会見」と呼ぶことで、パブリックな機能を担わせてきたわけだ。その「プライベート」と「パブリック」の混同やご都合主義的使い分けが、今日の記者クラブ問題、引いては記者会見の開放問題の解決を困難にしているというのだ。

 森氏は、当事者意識も改革能力もない記者クラブは官僚組織と同じであり、すでに多くの人に守旧派と見なされているという。情報公開や説明責任が求められる時代において、記者クラブという自らの問題を報じないまま、自分たちを国民の代表と思い込むマスメディアへの信頼は失われつつある。早晩、そうした大文字のジャーナリズムは凋落し、大手メディアも中小メディアや市民メディアも等価なものとして受容されていくようになると森氏は言う。

 しかし、改革できない大手メディアが凋落していくのは大手メディアの勝手だが、それに伴い、これまでわれわれの先人達が長い年月をかけて培ってきたジャーナリズムのノウハウ、とりわけ権力をチェックするノウハウがメディアから消滅してしまう問題は、簡単に看過できないようにも思える。

 しかし、森氏はその問題に対しても、もはや権力監視の機能も、マスメディアの専売特許ではなく、ジャーナリストの他にも、弁護士やNPOなど幅広い市民社会の参加によって、権力は監視されていくことになるべきだと説く。つまり、森氏は、記者会見は「報道を生業とする者」のみならず、誰でも自由に参加できるものにすべきだと主張するのだ。

 シリーズでお届けしている「民主党政権の課題」の6回目となる今回は、マル激本編としては初となる記者クラブ問題を取り上げた。

New Leaders in Japan Seek to End Cozy Ties to Press Clubs (The New York Times)

今週のニュース・コメンタリー
・国債発行額が税収を上回る見通し
・鳩山“故人”献金は新たな局面へ
・トヨタ車リコール問題の死角
・25%削減問題をめぐる政権内の攻防
・世界宗教者会議アフガン提言続報
・最高裁ウォッチ 旧態依然たる判事の任用基準

関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第24回(2001年08月17日)
田中康夫のリーダー論
ゲスト:田中康夫氏

プレスクラブ (2009年06月30日)
『報道の指摘は基本的に事実』
鳩山民主党代表が自身の献金問題について会見

<ゲストプロフィール>
森 暢平(もり ようへい)成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科准教授
1964年埼玉県生まれ。90年京都大学文学部卒業。00年国際大学大学院国際関係学研究科修士課程修了。毎日新聞社で宮内庁、警視庁などを担当の後、CNN日本語サイト編集長、琉球新報ワシントン駐在記者を経て、08年より現職。著書に『天皇家の財布』、共著に『雅子さま論争』。

November 28, 2009



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コメント

投稿者 fotosintesi 

日本の記者クラブ
以前報道で日本最古の記者クラブは東京相撲記者クラブで設立100年になるという記事がありました。
http://sankei.jp.msn.com/sports/martialarts/091005/mrt0910051926006-n1.htm

そこで思ったのですが、この際、日本のすべての記者クラブは東京相撲記者クラブに統合して、ちょんまげに紋付きはかま(もしくは浴衣かふんどし)を正装とし、文化庁管轄の下、日本の伝統文化保護団体として保護するべきではないでしょうか?

日本相撲協会と全国の記者クラブを合併するのもひとつの案かもしれません。外国籍の力士でも横綱になれるように、外国籍の記者でも「同じ土俵で相撲が取れる」ようになることでしょう。

November 29, 2009

投稿者 匿名 

(『ビデオニュース』のコメント欄が一時的に使えなくなっているとのことですのでこちらに書かせてください)
 
マル劇視聴暦約3年。コメントは2回目。大阪在住で、産業界の専門紙記者の40歳男です。ジャーナリズムにかける神保さんの魂と、宮台さんの叡智に毎週触発されながら、細々と自称「ジャーナリズム」を続けています(笑)。今回の視聴で‘プチ再決心‘したことがありました。

Part2の終わりに地域ジャーナリズムに触れられたくだりがあり、興味深く拝聴しました。神保さんの「食える(地域)ジャーナリズム」、宮台さんの、地域にかかわろうとするからその一つの手段としてジャーナリズムもあるといった趣旨の言葉、森さんの「コミュニタリアン」。いずれも納得できる言葉が連発され、自分にできることは何かを考えています。

4年前、京都での地域ジャーナリズムの動きにかかわりかけたときも、その主宰者から同じような言葉を聞き、心を震わせましたが、結果は雲散霧消の状態。「食える地域ジャーナリズム」は、「コミュニタリアン」の気持ちがあってもやはり難しかったと主宰者も言っておられました。

私には神保さんのような国際ジャーナリストの華々しい経歴はなく、いささか気後れすることがあるのですが、「グローバル+ローカル」なジャーナリズムを諦めてはいません。またご相談させていただきたいこともあるかと思います。今後、よろしくお願いします!

November 29, 2009

投稿者 ジュンコ 

フランスの国営テレビがやっている『おバカな日本の実体』という番組で、日本人に重要な社会の情報がメディアによって伝えられないとか、あるいは内閣の政策の足を引っ張るような報道をするのは、韓国や中国のスパイが日本の報道機関やメディアに職員として潜り込んで情報を操作しているからだと言っていました。神保さんたちは、日本の記者クラブ会員の記者たちを批判されてきておられますが、記者たちが能力がないのではなく、先に述べたようなことが原因で日本のメディアの報道能力が故意に落とされてるということは考えられるのでしょうか?

November 29, 2009

投稿者 knsky 

>神保さま
Nコメで、国債発行額が税収を越えたことによる日本財政の危機に触れています。宮台さんも日本国債の外国人保有率がアメリカやドイツに比べて低いことを理由に日本国債はクズだとおっしゃっていました。
反対側の意見として、例えば廣宮孝信氏著の『国債を刷れ!』や飯田泰之氏が提唱する「インフレターゲットを設定しろ」という議論がありますが、こういう意見も今後番組で取り上げていただきたいと思います。特に飯田氏は以前マル激にもゲストで出られた雨宮処凛氏と共著で『脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる』という本も出されています。マル激的にも面白そうだと思うんですが。

December 1, 2009

投稿者 違法子供手当て 

マル激、長すぎ。
倍速で見ているけど、だらだら感が否めない。
これだったら、関連する本を読んだ方がマシかも。

Nコメの鳩山献金問題。
今日の報道だと12億円になっていました。
6億円の贈与税逃れ(脱税)でしょうか。

『違法子供手当て(by秋元司氏)』に笑いました。

December 1, 2009

投稿者 雪男 

個室ビデオ店火災の死刑判決は、なんか、これでいいのか、と思います。犯人を決めたいのはわかりますが、このまま死刑になるのは、納得いきません。
危ういです。被告の顔つきを見て、思ったんですけれど。どうですか。

December 3, 2009

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