小沢辞任会見を見て

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press_071104_ozawa.jpg今日の小沢会見を無料で配信しているので、お時間があったらご覧ください。
http://www.videonews.com
http://www.videonews.com/press-club/0710/001180.php

どうも報道されている内容とはちょっと趣が違うように私には聞こえました。
政局なのでいろいろな読みがあるのは当然かもしれませんが、つまるところ小沢さんは、福田さんから、政府が従来の安全保障政策と憲法解釈を根本から変更する用意があることを聞かされ、そういうことであれば、総選挙で民主党が政権を取るとか取らないとかよりももっと重大な意味を持つと判断して、首相からの提案を持ち帰り、党に諮った。しかし、民主党の役員会は小沢さん以外全員が反対したので、それはもはや自分に対する不信任であると判断したと。

政局的には裸の王様のように党内で孤立していた小沢が、自分の頭だけで判断した結果、福田の術中に落ちたとか、検察の守谷CX捜査と関係があるのではないか等々、いろいろ取り沙汰はされているようですが、虚心坦懐に会見を聞けば、なるほどと思えるところも多分にあるのではないでしょうか。

もちろんこれは善し悪しを言っているわけではありません。せっかく参議院であれだけの信任を得た後の辞任は有権者への裏切りであり、また壊し屋小沢が民主党を壊し始めたかと言われても仕方がない面もあるでしょう。しかし、もし福田内閣が本当に、国連決議を自衛隊を海外に派遣する前提条件とする安保政策の転換を図る意思があったのであれば、これはいつ実現するかも定かではない「民主党への政権交代」よりも優先されるべき政策案件と考えたとしても、それほど間違ってはいないようにも感じました。

ただ、もしも、もしもですよ、自民党側が、小沢さんにその弾を投げたとき、小沢さんはかねてからの持論なのだから飛びつくだろうが、民主党内はそれではまとまらないだろう。そうすれば、悪くても民主党内の足並みの乱れを露呈させる効果はあるだろうし、あわよくば民主党を分裂させることに成功するかもしれないと考えて、今回の党首会談と、安保政策の転換を前提とする連立話を持ちかけたのだとすれば、やはり自民党の方が一枚上手だったと考えざるを得ないのかもしれません。実際、小沢さんは党首会談についての不正確な報道も辞任理由の一つにあげていますが、恐らくあの報道は自民党側の官邸周辺から流れたものだと思われます。民主党側は第一回目の党首会談の後、小沢さんが詳しい内容を党幹部にも伝えていないので、会談の内容を民主党側からリークをしたり情報操作をすることは難しかったはずです。

ただ、そういう権謀術数があったとして、やはりそれは相当リスキーなギャンブルで、もし民主党が連立に乗ってくるようなことがあれば、自民党は本当に民主党と連立を組まなければならなくなる上に、政府としては安全保障政策を根本から転換させなければならなくなります。日米同盟至上主義から国連中心主義への転換という戦後史に残る政策転換が、そんな政局的な計算に基づくギャンブルのネタになるとは思えない、と言うか、思いたくないですね。

しかし、小沢論文が世界に出たあたりから、いやな予感はしていたんです。あれだけ踏み込んだ安保政策の転換を提唱する論文の内容を、民主党の幹部ですら直前まで把握できていなかったのですから。

民主党執行部はこれから小沢さんを慰留するとか言っていますが、もうテレビで生中継された記者会見で明確に辞意を表明した上に、その理由まで明示しているんですよ。今更やっぱり撤回しますなんて話になるわけがないじゃないですか。とりあえずあれやこれや時間稼ぎをやった後、また代表選ですか。やれやれ、日本にとっては永遠の課題とも言うべき政権交代が、また10歩くらい遠のいたかな。

November 4, 2007



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[政治] 民主党、小沢代表留任の見通し from 日録(不定期)
 この件については馬鹿馬鹿しくて書く気になれないが、要するに、小沢一郎信者が民主党の政治家の中にも、また支持者の中にもいることが、小沢氏留任という流れを...

November 7, 2007


■福田&小沢がほんとうにやりたかったことは対米政策を軸にしたガラガラポン。 from お笑いみのもんた劇場
連立後、対米政策を軸に自民・民主両党内部に分裂を起こさせ、解散の後、国連・アジア重視で福田・小沢新党を結成して、小泉・麻生ら親米勢力と対決総選挙。

November 10, 2007

コメント

投稿者 vox_populi 

 今回小沢氏が連立のための政策協議を始めようと動いた、その行動パターンは、8年前に小沢党首率いる自由党が自民党との連立に踏み切った時のと全く同じだと思われます。つまり、小沢氏の行動は一貫しているわけですが、しかし後から政党レベルでこの一件を顧みた場合、連立は自由党にとって明らかに破壊的に働いています。自由党の一部の分裂→保守党成立という動きを招いたのですから。


 小沢氏がこの経験から何も学ばなかったことが大変残念でなりません。しかも今回はその失敗をよりによって民主党を舞台としてやってしまったわけです。いくら言行が首尾一貫していようとも、誤った考えで一貫しているのではいただけません。


 今回の件はもはや取り返しがつきませんが、少なくとも民主党支持者は、小沢氏がいなければ民主党は立ち行かないという考えからは訣別すべきでしょう。今回の例に明らかなように、現に小沢氏は民主党をも壊そうとしたのですから。

November 4, 2007

投稿者 pxcre2 

望むべき政策であればたとえ与野党の違いはあってもそれを実行するとこが大切だというのは全く正しい。

「マキャベリスト」という言葉の意味はここにこそある。

要は政局という「芝居」に関していわゆるマスコミはああだこうだと言っているだけのこと。

そして彼の言っていることは「原則的にはまちがっていない」し、報道機関に対する批判もおそらく正しい。

いったい彼を受け入れないものはなんであるのか。
あるいは彼にそこまで思わせているものは何なのか。

誰もそれについて言わない「真空」こそが問題。

そしてそれは宮台真司を「天皇主義者」にしたものでもあるはずだと思うのだけれど。

とはいえ政権交代がないのは困りものであることは間違いない。

うんざりして終わることを「ルーティーン」にしないように。

November 5, 2007

投稿者 pxcre2 

「とこ」は「ところ」です。
訂正しますw

November 5, 2007

投稿者 9B 

小沢氏に対する報道がおかしいという意見に同意する。
マスコミは、「原本=本人の言葉」を読むという行為を忘れているのではないか。
「評論家」と称する面々の「確実ではない井戸端意見」のコピー&コピーで報道は話を進めているので、事実とは異なる見解がまことしやかに、幼稚に闊歩している。
小沢氏の怒りは最もであり、党首会談についての報道ぶりは、当事者(福田総理、小沢代表)ともになんて苦々しいことだろうと思い図った。

大体「大連立」という言葉だけ独り歩きしているのがおかしい。党首同士、「政策協議」のバリエーションとして考えていたことが「原本」からならば理解できる。
マスコミやそれに乗る評論家(?)、国民(?)の街頭インタビューの心が狭すぎる。
「話」をするだけでもダメとは、共産党や社民党だけの言い分だ。
民主党幹部まで、党首を社民党と同様に罵倒した。
(神保氏は社民党の立場であろう)
事実、小沢氏の言うとおり民主党は「幼稚」で、自民党の幹部とは水を開けられている。
その事実を党首会談を通じて実感し、持ち帰り、そのあげく「ギャーギャー一方的に」反対されたら、小沢氏が「誰の為に働くもんかね・・・」とバカバカしくなったのは容易に理解できる。

会談の内容(原本)すら聞かないで走る仲間及びマスコミの稚拙な態度に怒ったというのが、小沢氏辞任の半分の理由を〆ていると思う。

November 5, 2007

投稿者 犀 

小沢氏、党首続投するようですね。
<会見を見て>
現在、「政策の実現」よりも「政権交代」のためだけに民主党を支持している人もかなり多数いると思いますし、僕もその一人です。
そう考えると小沢さんの「民主党の政策を実現するために政策協議する」という言葉がいまいち効果的でない気がします。小沢氏は目測を誤ったのでしょうか。それとも例の安保政策の転換に飛びついてしまっただけなのでしょうか。

次の衆院選での政権奪取に小沢氏は悲観的だったと報道されていますが、僕たち有権者は悲観的展望も含めた上で、さあどうなるか!という期待値だけは高く持っていたような気がします。この期待値を使って如何様にも戦略を練れた気がします。
今回のプロセスで前回の参院戦で共産・社民から流れてきた支持層を失い、自民からの流出支持層も失ったとすれば今後民主党はどうなるか、小沢氏、民主党の動きを楽しみです。

November 7, 2007

投稿者 Wellness Walker 

終日小沢さん関連のニュース見てて吐き気を感じました。悪代官そのものですねこのお人。金に汚く裏街道の親分みたいで、民主主義とは無縁です。なのに民主党の党首になれたのはなぜ?

いっそ、小泉純一郎が民主党の党首になったほうが国民は幸せかもしれない。人間が綺麗だし勇気もある。おばさんに人気があるということは正しい人なのだ。西部邁とか宮台真司みたいな日本の「インテリ」は困るでしょうけどさ!!! なーんちゃって。

November 7, 2007

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